海神DIGITAL「紙に文字を書くということ」
立命館大学新聞のコラム欄「海神(わだつみ)」。記者が日々の思いを語ります。

じわじわと暑くなり、 今年も七夕の季節がやってきた。小学生のときには毎年、短冊にどんな願いを書こうか時間ぎりぎりまで悩んだ覚えがある。悩んだ末、結局、ありきたりな願いごとを書いていた。
高校入学以降、紙に文字を書くことがすっかり減った。環境問題への配慮やデジタル化に伴い、紙そのものに触れることすら少なくなった。感謝の気持ちや誕生日を祝うメッセージもSNS(交流サイト)で簡単に伝えられる時代。気軽に使えるSNSでやり取りすることが格段に増えた。思ったことをすぐに書き込んで、後から後悔するという経験をした人も多いのではないか。
以前は連絡手段が限られており手紙をよく書いていた。今ではそれもほとんど書いていない。ふと、遠方への転校後も数年前まで手紙でやり取りしていた恩師や友人は元気だろうかと思いをはせる。
紙に書くときには自然と手が止まる。消しゴムで消すことはできても「この言葉は適切なのか」と相手のことを考える時間ができる。考えて考えた自分の言葉で思いを表現することに価値がある。
紙に文字を書く時間は貴重になりつつある。いつのまにか、文字を書くことがなくなってしまうのだろうか。効率性が重要視される現代だからこそ、一度立ち止まって言葉を選び、書くという時間が必要になるはずだ。
今年の七夕は、久しぶりに短冊に願いごとを書こうか。たまには手紙で思いを伝えるのもいいかもしれない。
(矢野)
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