7月29日と30日に琵琶湖東海岸(滋賀県彦根市)にて「鳥人間コンテスト」が開催される。同大会・人力プロペラ機部門のトップバッターとして出場する立命館大学飛行機研究会RAPT(以下、RAPT)に、意気込みを聞いた。
RAPTは今大会にあたり、駆動構造を一新。長年採用し続けていたプロペラを前方につけるダイダロス駆動からプロペラを主翼と尾翼の間につける中ペラ駆動へ移行した。移行した理由について、代表の植田晃一さん(理工3)は「新しいことにチャレンジしようという気持ちが自分たちの中でふつふつとあった」といい、チーム内で固定観念化されたものを吹き飛ばしてできたのがこの中ペラ機だと語った。コロナ禍による活動制限で、新入部員の確保や技術の継承に大きく苦戦したというRAPT。その経験が、今までやってきたことを見つめなおす機会となり、新しいことにチャレンジしようと思わせてくれたという。そして、コロナ禍でも努力を続け、1年で中ペラ機を作り上げたことは自信や強みになったと振り返った。
全体設計を担当した梶島基暉さん(理工3)は機体の注目ポイントについて、1年間で製作した中ペラをはじめ、設計・デザインともにオリジナルのコックピット、翼やプロペラのペイントを挙げる。また、今大会について、2019年出場時のチーム最長記録254.53mを超える1㎞到達の目標を掲げ、目標達成を目指すことはもちろん、楽しむことも大切にしていきたいと語った。
パイロットの大石智也さん(理工2)は「たくさんの人の思いを背負うプレッシャーがある中で、自分ができる最大限の力を発揮できたら」と意気込む。昨年行われた日本一の大学1年生を決めるキャンパスミスターコン「FRESH CAMPUS BOYS2022」ではグランプリを受賞した大石さん。ミスターコン出場時にも鳥人間コンテストへの夢を語っており、応援してくれたファンの皆さんにも恩返ししたいと思いを語った。幼いころから鳥人間コンテストのファンであり、パイロットとして活躍することが夢だった大石さんにとって、今大会は夢を抱えてのフライトとなる。
RAPT初の中ペラ機の機体名は襷(たすき)を意味する「SASH」。中ペラ機へ移行した今期がこれまでの機体とこれからの機体の架け橋となり、RAPT新時代への第一走者として襷を後輩たちへ繋げていくという想いが込められているという。大石さんは、2回生の自分が今回パイロットとして飛ぶことで「来年の鳥人間コンテストにもつなげられるフライトにしたい」と語った。さらに、SASHが今大会の1番機となることを受けて、梶島さんは「他の機体に襷をつなぐという意味も新たにできた」と話した。機体名にちなんで、翼とプロペラは襷をイメージしてペイントしているという。
テストフライトを終えた現在、RAPTは当日に向けての最終調整をしている。
部員の想いをのせたSASHは29日、今大会の1番機として琵琶湖の空へと飛び立つ。
RAPTはびわこ・くさつキャンパス開設と同年の1994年に誕生し、鳥人間コンテストで長距離飛行することを目標に掲げる。滑走機製作の経験を経て、人力プロペラ機製作を始めて今年で14年目となった。現在は1回生から3回生を合わせて51人の部員で活動している。
(井本、鈴木麗)