本紙は秋学期の開講に向け、学生の意向を把握するべく、立命館大学学部生約32,000人を対象とする調査を実施した。調査項目は前回調査を踏まえ、①秋学期に希望する授業形態②休学・退学希望の有無とした。調査は8月5日から18日にかけてインターネット上で行い、有効回答数は1,414件、全学生数に占める回答者の割合は4.39%であった。なお、調査票は選択式問題と、一部自由記述欄が設けられた。本記事は調査結果の詳報である。
0.回答者の属性
回答者の学年比率については、1回生(39.3%)、2回生(18.8%)、3回生(26.8%)、4回生(13.5%)、5回生(1.6%)。
学部ごとの回答者数・比率は、法学部(203人・14%)、文学部(306人・22%)、産業社会学部(168人・12%)、国際関係学部(37人・3%)、映像学部(42人・3%)、経済学部(95人・7%)、理工学部(122人・9%)、情報理工学部(58人・4%)、生命科学部(32人・2%)、薬学部(14人・1%)、スポーツ健康科学部(51人・4%)、食マネジメント学部(32人・2%)、経営学部(96人・7%)、政策科学部(71人・5%)、総合心理学部(86人・6%)、グローバル教養学部(1人・0.1%)であった。
所属キャンパスごとでは上記の分布となった(BKC=びわこ・くさつキャンパス、OIC=大阪いばらきキャンパス)。
また、男女比は男性(53.1%)、女性(42.1%)、無回答(4.8%)であった。
居住環境は、実家生(46.5%)、下宿生(52.6%)、その他(0.9%)となり、キャンパスごとの統計では上記の通りになった(調査は夏季休暇に行われたが、開講期間中の居住環境を尋ねた)。
1-1.秋学期に希望する授業形態
「秋学期の授業について最も希望する形態」を尋ねたところ、「全面Web授業」と答えた学生が34.4%、「Web授業と対面授業の併用」が35.1%、「全面対面」が26.7%、「その他(自由記述)」が3.8%となった。
「その他」では、「併用以外(全面Webあるいは全面対面授業)」という回答が目立ち、「どの形態でもよい」などの記述もあった。
学年ごとに見ると、全面Web授業希望が多いのが2回生・4回生・5回生以上、併用希望が多いのが3回生、全面対面授業希望が多いのが1回生という結果となった(「その他」の回答を除いた)。
所属キャンパス別では、衣笠に所属する学生は併用の授業を希望する割合が高く、BKCに所属する学生は全面Web授業を希望する割合が高いことが明らかになった(「その他」の回答を除いた)。
居住環境で見ると、実家生と下宿生の間で全面Web授業の人気に差はほとんど見られなかったが、併用の授業と全面対面授業の間で少しの差が見られた(居住環境について「その他」の回答を除いた)。
1-2.各授業形態の受容
「秋学期が全面Web授業となれば受け入れられますか」の問いに対しては全体で「はい」が60.5%、「いいえ」が39.5%となった。「秋学期がWeb授業と対面授業の併用となれば受け入れられますか」の問いは「はい」が62.7%、「いいえ」が37.3%という結果に。「秋学期が全面対面授業となれば受け入れられますか」の問いは「はい」が57.8%、「いいえ」が42.2%という結果になった。
学年別に見ると、低回生ほど全面Web授業を受け入れない傾向にあることがわかった。
一方で、Web授業と対面授業の併用では、2回生が他学年より極めて受容度が低いという結果が見られた。
全面対面授業に関しては、1回生の受容度が他学年より高い結果となった。
キャンパスごとの統計では、BKCの学生が他キャンパスと比べて、全面Web授業を受容し、併用と全面対面授業を受容しないという傾向が顕著であった。
2-1.休学希望の有無
「現在、秋学期以降の休学を考えていますか」の問いに対しては、全体で「本格的に考えている」が5.4%、「どうするか考えている」が20.2%、「考えていない」が74.4%という結果となった(【速報】立命館大学 4人に1人が休学を視野に《本紙調査》)。
学年別の結果からは、5回生以上を除いて、低回生ほど休学を考えている学生が多いことが明らかに。
キャンパス別では、ほとんど差が見られなかったものの、最も休学検討者の割合が高いのはBKCに所属する学生であった。
一方で、学部ごとの学費を年間150万円以下と以上を境に、低学費群(法・文・産社・国関・経済・スポ健・食マネ・経営・政策・総心)と高学費群(映像・理工・情理・生命・薬・グロ教)にわけて分析したところ、学費の高い学部のほうが休学を検討している学生が多いことが明らかになった。
居住環境別に見ると、実家生よりも下宿生のほうが休学を検討している傾向にあることがわかった(居住環境について「その他」の回答は除いた)。
2-2.退学希望の有無
「現在、退学を考えていますか」の問いに対しては、全体で「本格的に考えている」が2.3%、「どうするか考えている」が7.5%、「考えていない」が90.2%という結果となった。
学年別では、5回生以上を除くと、1回生の退学検討者が他よりやや多い結果となった。
キャンパス別では、休学と同じく最も退学を考えている割合が高いのはBKCの学生であった。
低学費群と高学費群では、休学と同じく、学費の高い学部のほうが退学を検討している学生が多いという結果となった。
居住環境も休学のデータと同じく、実家生よりも下宿生のほうが退学を検討している割合が多いことがわかった(居住環境について「その他」の回答は除いた)。
2-3.休学・退学を考える理由
休学・退学検討の有無と希望する授業形態の関係を見たところ、以上のような結果となり、休学・退学を視野に入れている人は全面対面授業を好む傾向にあることが明らかになった。また、特に休学・退学を本格的に考えている人が併用の授業を好まない傾向も見られた。
また、「休学・退学を考えている方はその理由を可能な限り教えてください」と尋ねたところ、228件の回答(記述)が寄せられた。回答者の記述から語を抽出し、語と語のつながりを視覚化する共起ネットワークを作成したところ、授業形態やその質に対する不満が最も多く見られたことがわかった(緑色箇所)。続いて、学費についての不満(赤色箇所)と、大学生活を送る意味を問うものも多く見られた(茶色箇所)。また課題の負担や精神的な苦痛を訴える声も上がり(橙色箇所)、その他に、家庭の経済状況や将来への不安についての意見も寄せられた(青色箇所)。
なお、本学の休学費用は半期で5000円と定められており、周辺の私立大学に比べて低額で抑えられているのが特徴的である。
調査名|秋学期の授業に向けたアンケート
実施|立命館大学新聞社(文責:堀ノ内)
項目|①秋学期に希望する授業形態②休学・退学希望の有無
回答期間|2020年月8月5日(水)~8月18日(火)14日間
実施方法|Googleフォームを用いたインターネット調査(周知はURLをSNS等で共有)
対象|立命館大学 全学部生(32,243人/2020年5月データ)
有効回答数|1,414件(学生証番号上6桁が所属学部・学年と一致しないものを無効回答とした)