2022年度4月、三笠宮家の彬子さまが本学の客員教授にご就任された。本学文学部や文学研究科の授業で日本文化の継承をテーマにゲストスピーカーとして教鞭を執られるほか、立命館大学アート・リサーチセンターのセミナーで講師などを務められる。
彬子女王殿下は、日本文化、特に京都文化について研究・発信されており、本学の学部・大学院の教学高度化のため招聘(しょうへい)された。彬子女王殿下には2009年度以来、共同研究などでご支援を賜っている。
客員教授にご就任されるにあたり、書面にて殿下のお気持ちをうかがった。
1.本学に客員教授としてご就任されるにあたり、改めましてそのお気持ちをお聞かせください。
英国留学から帰国し、社会人としての一歩を踏み出した最初の勤務地である立命館大学に、この度客員教授として戻ってこられたことを大変ありがたく、うれしく思っています。研究員として勤務していたころは、学生の延長のような感覚であったように思いますが、今度は指導する立場になり、改めて身の引き締まる思いです。京都産業大学、京都市立芸術大学などで、学生の指導に携わっていますが、各大学で学生さんの雰囲気や取り組み方に違いがあり、立命館大学ではどのような学生さんに出会えるのか楽しみにしています。
2.京都文化をさまざまな形で発信される彬子女王殿下にとって、京都で教鞭をとられることについて、どのようにお考えになっておられますでしょうか。
日本文化を未来にどのように残していったらいいかを日々考えながら活動している私にとっては、京都は多くの魅力、そして教えが詰まった街です。文化と言うものは生活に息づいてこそ文化と言えると私は思っていますが、京都は日常の中で、自然に日本文化を楽しむ土壌があります。お祭りや年中行事が身近なものとしてあり、和菓子屋さんに日常的に通われる人も多く、着物を着て歩いても何の違和感もなく溶け込むことのできる京都に暮らし、学んでいる学生さんたちには、京都の文化をより身近に感じ、自分にも関わりのあることとして捉えてもらいやすいように感じています。
3.彬子女王殿下が教壇にお立ちになるにあたり、学生に期待することはありますでしょうか。
自分が専攻している分野以外のことも、「関係ない」と思わず、アンテナを張って、様々なことを「知る」努力をして欲しいなと思います。知識や経験は絶対に裏切りませんし、やらないでする後悔より、やってする後悔の方が価値があります。たくさんの人と話し、たくさんのことを学び、たくさんの経験をして、人間力を高めてほしいと思います。
4.大学教育に携わることについて、どのようなお心持ちでしょうか。
皇族として、教育に携わると言うことを取り立てて意識することはありません。私を今まで指導してくださった先生方には到底及びませんし、立場上フルタイムで教育に携われるわけでもありませんから、その先生方のように指導することは無理だと思っています。でも、その先生方が私にしてくださったように、学ぶことの面白さを学生さんたちに伝えることを放棄してはいけないと思っています。何かを「教える」のではなく、私の経験や面白いと思っていることを学生さんたちに「共有」することで、誰かが何かを感じたり、考えたりするきっかけになるのであれば、存外の喜びです。