4月10日から6月29日にかけて、コンポストを用いた食品廃棄物の分解処理実験が立命館アジア太平洋大学(APU)で行われた。コンポストとは生ごみや枯草などの廃棄物を微生物によって分解・処理する機械とそのプロセスのことを指し、実験では株式会社komhamのコンポストが使用された。komham社の代表取締役である西山すのさんは2011年にAPUのアジア太平洋学部を卒業している。
今回の実験は2023年度にAPUでサステイナビリティ観光学部が新設されたことを機に行われ、環境問題に強い関心を持つ学生や教職が、共に環境にやさしいキャンパスづくりを進める取り組みの一つである。また、多くの留学生が学ぶAPUでは、学生食堂で様々なスパイスを使用した料理が数多く出されており、スパイスの分解に微生物が耐えられるかどうかの検証もAPUで実験が行われた経緯の1つとなった。
今回の実験では、4月から6月にかけて約190㎏の食品廃棄物を投入し、その内約150㎏の分解に成功した。コンポストの運用においてはメンテナンスなどの手間がほぼなく、コストパフォーマンスの点でも優れていたという。一方、コンポストから発生する臭いの問題も発生した。APU企画課の佐間野有希子さんは「微生物が生ごみを分解する過程においてはどうしても臭いが出てしまう。今回は、学生の移動の導線から離れた場所に設置することで対処した」と述べる。実際、コンポストの臭いについては学生などから問い合わせがあったという。
本学園では2030年のカーボンニュートラル・キャンパス実現に向け、コンポストの設置を含め二酸化炭素排出量を減らす取り組みが数多く行われている。現在、コンポストは学園内の各施設を移動しており、2022年には本学のびわこ・くさつキャンパスでも同様の実験が行われていた。APUでの実験終了後は本学付属の立命館慶祥中学校・高等学校に移動し、同様の実験が行われるという。佐間野さんは「こういった取り組みは大学側が一方的に行うのではなく学生と一緒にやっていきたい。大学全体でキャンパスのリノベーションを行っていきたい」と思いを語った。