細見美術館(京都市左京区)で11月5日まで、開館25周年記念展Ⅰ「愛(いと)し、恋し、江戸絵画―若冲・北斎・江戸琳派―」が開催されている。本展は開館25周年記念展の第1弾。細見美術館が所蔵する伊藤若冲や葛飾北斎、江戸琳派の作品など約50点が展示されている。
細見美術館は、初代古香庵(ここうあん)・細見良氏に始まる細見家三代の蒐集(しゅうしゅう)品をもとに京都・岡崎の地に始まり、今年で開館から25年を迎える。2展に分けて開催される記念展の第1弾では、二代古香庵・細見實(みのる)氏と妻・有子氏の「お気に入り」の江戸絵画が展示される。本展は25周年を機に細見コレクションを紹介したいという思いから始まっているという。細見美術館の主任学芸員・福井麻純さんは「日本美術に興味を持っていただくきっかけとなる企画にしたい」と意気込んでいる。
見どころの一つは酒井抱一(ほういつ)、鈴木其一(きいつ)らを始めとする江戸琳派の作品。本展では、明るく華やかな作品だけでなく、墨を中心に用いて描いた作品や仏画など「琳派らしくない」作品も並んでいるといい、琳派の新しい一面に触れることができる。
夫妻は蒐集した作品をしまい込むのではなく、絵画や工芸作品を季節や客人の好みに応じて取り合わせ部屋を飾り「おもてなし」に用いていた。一部の展示はそのことを感じられる仕様となっており、作品の取り合わせと調和を楽しむことができる。福井さんは「コレクターの作品へのまなざしを展示品から感じてもらえれば」と述べた。
福井さんは「作品に関する知識がなくても『自分が作者だったらどう描くか』と想像を膨らませたり、自分のお気に入りの作品を探したりしながら展示を見ると面白さが増すかもしれない」と話す。大学生に向けては「美術鑑賞が趣味の一つになってくれればうれしい」と思いを語った。
11月14日からは、記念展第2弾の開催が予定されている。記念展Ⅱ「挑み、求めて、美の極致ーみほとけ・根来(ねごろ)・茶の湯釜ー」では、初代古香庵のコレクションが並ぶ。江戸時代の絵画を中心に据えた第1弾から時代をさかのぼり、平安から桃山時代の作品が展示される。福井さんは「第1弾の展示を見た上で第2弾の展示を見ていただくことで、より日本美術の幅広さを実感できる。日本美術の奥深さを見て感じてほしい」と期待を寄せた。
開館25周年記念展Ⅰ「愛し、恋し、江戸絵画ー若冲・北斎・江戸琳派ー」は細見美術館にて11月5日(日)まで開催されている。開館時間は午前10時から午後5時となっている。休館日は毎週月曜日(祝日の場合開館、翌火曜日休館)。観覧料は大学生の場合1人1100円。リピーター割引(200円引き)が実施されており、25周年記念展Ⅰ・Ⅱの会期中に利用可能。(吉江、小林)