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【社説】関東大震災から100年 災害への備えを

今年で関東大震災から100年が経つ。1923年9月1日、近代日本の首都圏に甚大な被害をもたらした大規模地震の発生日は、災害への認識を深め、備えを点検する「防災の日」と定められている。この100年で日本は、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災といった地震・震災をはじめとして、豪雨や台風、土砂崩れなど数多くの災害を経験してきた。気候変動などによって自然災害のリスクが高まるなか、これらの災害はいつどこで起きてもおかしくない。

では、現在の私たちはこのような災害リスクに対して十分な備えをできているのだろうか。今年、政府が報告した防災白書によると、東日本大震災で高まった国民の防災意識が現在、低下傾向にあることがわかった。災害に対して「準備無し」と回答した人は2017年から2022年にかけて3%増加し、約13%を記録。さらに、災害時の対処について家族ら身近な人と話したことがない人は回答者全体の約37%に上っており、防災対策を怠っている人が一定数存在する。

特に、下宿先で一人暮らしをする多くの大学生にとって、防災対策は後回しになりがちかもしれない。だが、頼れる家族・知人が身近にいない状況では、自分の身を自分で守る行動が大切になる。電気や水道などのライフラインが止まった場合に備えて、飲料水や保存の効く食料、タオルなどの生活必需品を備蓄すること、家族・友人らと安否確認の方法を決めておくこと、自治体のハザードマップや防災マップを通して避難場所・経路を確認しておくことなど、日頃からの備えが重要だ。

私たちは常に災害のリスクにさらされている。いつどこで起こるかわからないからこそ、日頃の備えを徹底してリスクを最小化する。自然災害のリスクが高まるなか、万一のとき、自分の命を自分で守るための責任感と行動が今後より一層求められるのではないか。過去の教訓を未来の防災に生かしていきたい。

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