本学では、9月25日からキャンパス内の特定屋外喫煙所の無期限閉鎖が行われている。本学は2013年4月より全キャンパスを全面禁煙としており、そのあり方については議論が重ねられてきた。
閉鎖に至るきっかけの一つは、新型コロナウイルス感染症予防の観点が大きい。今年度は秋学期から対面授業が再開されたが、感染症対策として手洗いうがい、アルコール消毒はもちろんのこと、各教室の窓を開けての十分な換気やソーシャルディスタンスをとることの徹底を大学側は呼び掛けている。しかし、換気のために窓を開けたとき、外気と共に喫煙所からの副流煙やたばこの臭いが流入してしまう恐れがある。たばこの副流煙は、喫煙者が直接吸い込む主流煙よりもはるかに多くの有害物質が含まれており、卒煙支援エリアでの喫煙者が、結果的に他の学生の受動喫煙を促すことになる。
また、卒煙支援エリアでの喫煙は、喫煙者同士において三密関係になりやすいという懸念も。卒煙支援エリアを利用した学生が、学内におけるクラスター発生の起因になってしまうことも避けられない。さらに悪いことに、喫煙によって、ヒトの細胞表面にある「ACE2」という分子が増えることになる。「ACE2」という分子は、新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入するときに利用する分子であり、これが増えてしまうことでウイルス侵入の機会を増やしてしまうことになる。この作用により、新型コロナウイルス罹患時の重症リスクを高めてしまう危険性がある。よって本学では、今の状況においては、新型コロナウイルス感染症対策最優先であると考え、この決断に至った。
衣笠キャンパス地域連携課長の大場茂生さんは「このコロナ禍での状況においてこそ、卒煙をするべきだと切に思う。どこかのタイミングでやめなければ、たとえコロナの危険がなくなったとしても、自身の健康面において悪影響を及ぼすものであるのには変わりない。キャンパスの全面禁煙化がゴールではなく、喫煙者一人ひとりの卒煙が本当のゴールだ」と主張する。学生に対しては、「喫煙者本人の卒煙は、自分一人では成し遂げがたい。その人にとって本当の友達ならば、喫煙していることを黙認したり仕方ないと思ったりするのではなく、禁煙・卒煙のための助言をしてあげてほしい」と訴えた。
各キャンパスの保健センターでは、無料で禁煙外来を受診することが可能。地域連携課や保健センターが喫煙者の卒煙に向けて取り組みを進めている。大場さんは喫煙者に対しては「誰かと一緒に卒煙をしよう。私も相談に乗る。私も一緒に保健センターまでついていく。自分の健康と未来に向けて、今から変えていこう」と熱く語った。(檜垣)