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全学協議会開催:休講問題、禁煙化への課題など議論

〈2018年10・11月号紙面先行公開〉

 

10月3日、立命館朱雀キャンパスにおいて、2018年度全学協議会が開催された。協議会の模様は、衣笠キャンパス、大阪いばらきキャンパス(OIC)、びわこ・くさつキャンパス(BKC)にも同時中継された。

全学協議会は、本学の「全構成員自治」の考え方に基づき、学部生、大学院生、教職員、大学(常任理事会)が、教育・研究、学生生活の諸条件の改革・改善について協議する場である。

今年度は①正課・課外における学びの充実について②留学生を含む国際化・ダイバーシティ・インクルージョンの推進について③キャンパス環境の質向上について④大学院教学の充実について⑤学費提起と2019年度全学協の開催についての5議題が話し合われた。  (吉武、堀内)

正課・課外における学びの充実

大学側に問題提起を行う 学友会・山本朔常任委員長(生命4・中央)

第1議題では、休講措置の問題について、教育の質向上、試合等参加証明書の運用徹底、課外施設の整備、オリター団など初年次教育の高度化、教養教育改革についてが学友会側から提起された。

これに対し常任理事会の市川正人副総長は「近年の災害の甚大化、通学圏の広域化、公共交通機関の運休決定の早期化が進む中で、学生の安全を最重視しなければいけない。休講判断の基準を検討するワーキンググループを教学部に設置し、学友会との懇談会も行った。そこで新しい休講判断の基準案をまとめ、本学の教学委員会に案を提出して、全学部から意見を集約している。現行では、従来の休講基準規程に加えて、規程に当たらない場合でも学長(総長)の判断によって休講するという2本立てだ。しかし学長判断にも基準がなければ判断することができない。現在学長が休講を判断するための基準を明確化しようと取り組んでおり、秋学期には新基準で対応したい。10月1日の台風の際、前日時点で午前中の休講を決定したのは、実質上新基準に準じて判断したもの」と回答した。

教育の質向上についての課題に関しては、学友会側から「本学の中期計画であるR2020後半期計画では『教育の質の転換』という条項が高らかに掲げられている。そして大学側はその条項の達成を目指し、教員の授業方法を改善していくための取り組みであるFD(ファカルティ・ディベロップメント)活動を推進、教学改革の実施、新しい科目の設置、シラバスの作成方法の改善をしたとしている。しかしこういう改革があるにもかかわらず、授業外学習時間は依然として少ないままだ。授業外学習時間が少ない理由を、授業内において学生の知的好奇心を喚起するような、興味関心を高めるような授業実践がもっと必要なのではないかと考えている。そういった授業が展開されれば、授業外学習時間というのは自ずと増えるであろう、というのが我々の考えだ。それに加えて教学改革が学生の成長にどれだけ役立ったかを示すデータが、現時点において存在しないのは問題だ」という提起があった。

これに対し市川副総長は「シラバスや授業のなかで予習・復習を明確にすることは大前提。そして予習・復習課題については科目全体の中での一定程度の調整が必要なので、各学部に対して調整・検討を現在お願いしている。教学改革が学生の成長にどれだけ役立ったかを示すデータが、現時点において存在しないという学友会側からの指摘は、非常に厳しい指摘だ。しかし、我々常任理事会は教学改革の取り組みが学生の学びの成長実感や満足度にどのように寄与したのかという視点は欠落しているとは思っていない。教学改革の効果についてデータに基づく検証をしているかという点については、授業アンケートの『自主的学習への意欲』『能動的取り組みに対する意欲』の項目で確認し、『向上した』という回答が増加傾向にある。また本学は学びと成長調査というのも大規模に行っているので、そういった多角的なデータから検証していきたい」と回答した。

留学生を含む国際化、ダイバーシティ・インクルージョン

第2議題では、「留学生支援を含む国際化、ダイバーシティ・インクルージョンの実現」として多様な学生が安心して学べるキャンパスにするという「ダイバーシティ・インクルージョン」の実現、学生の海外経験・地域貢献活動に関する課題、留学生に対する日本語教育のカリキュラム構築について、大学内で国際交流ができる施設「Beyond Borders Plaza(BBP)」の活用について、留学生支援として留学生支援コーディネーターの設置、英語で開講する授業のさらなる拡大についてが、学友会から提起され議論された。

また院生連合協議会からは大学のグローバル化対応、英語基準入試で入学した大学院生の対応、留学生の生活問題を担当する窓口が周知されていないという問題、本学の留学生向けの寮「インターナショナルハウス」の利便性向上について、社会人大学院生が学びやすい環境をつくるために設置された保育所・託児所の運営についての課題が提起、議論された。

キャンパス環境の質向上

大学の代表として発言する 吉田美喜夫総長(左)と市川正人副総長(右)

第3議題では「キャンパスの質向上について」として、学友会が7月に実施した緊急学生アンケートの結果をもとに、キャンパス改修に関して検討段階で学生にも意見交換の場を設けてほしいという要望、昼食時の食事場所の不足、キャンパス禁煙化に関する課題、空調温度について、試験前の図書館の学習スペースの利用時間延長について、学友会から喚起・報告された。

キャンパス禁煙化に関しては、学友会から「本学では2013年から全面禁煙化が実施されているが、隠れて喫煙している学生がいる。卒煙支援エリアは、建前としては煙草を吸ってはいけない場所となってはいるが、実態として喫煙所になっている。また保健センターの調査によれば、学生の喫煙率はおおむね減少傾向だが、学友会の学生アンケートでは、受動喫煙の影響を受けていると回答した学生は非常に多い。このため、受動喫煙の防止徹底、キャンパス禁煙という手段については再検討していく必要があるのではないか」と山本朔常任委員長(生命4)が提起した。

これに対し松原豊彦副総長は「この問題はキャンパスごとに大きく状況が異なる。卒煙支援エリアの数やどこに置くかということは、キャンパスの状況に応じて適宜見直しを行っていきたい。また新たな喫煙者を生まないように、啓発・教育といった取り組みを進めていく。保健センターでの卒煙支援を引き続き推進したい」と強調し「2020年までに現在の本学の学生の喫煙率を4%から2%に減らし、喫煙率2%の状態を3年間継続できれば、卒煙支援エリアは撤去していく」という全学禁煙化推進委員会の方針を明らかにした。その上で「実行するとなると相当困難な課題。大学としては今まで以上に力を入れて指導していきたい」と答弁した。また吉田美喜夫総長は「煙草の依存性は強く、吸い始めるとやめるのは難しい。このため喫煙をスタートさせないという地道な努力を続けていくことが重要だ。確かに全面禁煙にしながら、遅々として進まないのではないかというのは批判としてわかるが、やはり努力は続けていかないといけない」とも述べた。

大学院教学の充実

第4議題では「大学院教学の充実について」として学部生の授業や教学活動をサポートするTA(Teaching Assistant)制度の分野・範囲の拡大について、大学院生に対する助成金制度などのキャリアパス支援制度について、博士学位をとったとしても十分に本学で研究できる環境が整っていないという問題、衣笠・OICに設置されている大学院生の研究施設「リサーチコモンズ」において、学部生の騒音やキャンパスツアーで院生が勝手に写真を撮られて迷惑になっているという問題、他方で共同研究室の座席数が少なく横の研究科との間で軋轢が発生しているという問題が院生協議連合会の後山会長から提起され、議論が行われた。

学費提起と2019年度全学協議会

第5議題では「学費提起と2019年度全学協議会の開催について」として、学費提起が単年度の提起になっていることについての議論もあった。学友会からの「来年度の全学協議会においては、2020年度入学者の学費提起だけではなくて、最低でも2020年と2021年のセットで提起をしていただきたい」という提起に対し、吉田総長は「2019年度入学者の学費提起に関しては、発表スケジュールなど日程上の制約に加え、文科省による入学者定員の厳格化、予算の精査、政府が推し進める働き方改革といった大きな外的要因があった。これらへの対策の議論がされていない段階で、学費提起をすることは相応しくないという決断をした。学費提起に対しては複数年度提起するよう多数の要望があることから、2019年度に提起する次期学費政策を2020年度、2021年度の2年間とする。また、2030年に向けて2021年からスタートするR2030の中期計画と、財政運営の基本方針策定後の2021年度に提起する学費政策については、4年のスパンで提起するようにしていきたいと考えている。その場合、ただ4年間の時間の推移を見るのではなく、中間点検の内容も、今後検討をしていきたい」と発言した。

討議の評価とまとめ

協議会の最後には「議論の評価」が各パートより行われた。山本常任委員長は「我々学友会は『想いをカタチに』を理念に活動している。緊急学生アンケートに答えてくださった学生がいて、全学生3万2600人を代表して、その想いを背負ってこの場に立っている。学生みんなの想いは何かと考えたときに、議論することではなく、結果を求めています。『食堂の混雑がマシになったな』『受動喫煙の被害がなくなったな』『授業が面白いな』。全学協の議論ももちろん大切だが、こういった実感が大切だ。そのような意味で、今日の全学協というのは到達点ではなくて、学生がこの大学に来てよかったと思うところまでは、常に通過点であると私は思っている。常任理事会の皆様には『未来の立命館が輝いてほしい』というこの想いを留め置いてほしい。常任理事会の皆様には非常に厳しいことを申し上げるが、立命館というのはあなたたちだけの立命館ではない。われわれ若い世代も立命館だ。特に私たちは卒業してからも「立命館」という肩書をずっと背負って生きていく。常任理事会の皆様にお願いしたいのは、自分の在任期間のことだけを考えるのではなく、長期的な視点で立命館というのを見つめていただきたい。教学改革というのをぜひとも断行していただきたい。それは関関同立だけのレベルだけでいいとか、ちっぽけなことを言っているのではなく、やはり世界の立命館にならなければいけない。そういった気概を持ってやっていただきたい」と語り、評価とした。

吉田総長はまとめとして「熱心な議論に感謝したい。山本委員長からも言われたように、議論をすること自体が目的じゃなくて、そこから結果を出して『学んでよかったな』という実感を持てるようにすることが大切だと思う。大学と学生の皆さんのつながりは在学期間だけのものではなく、生涯のものである。そういう重い責任を、大学は担っているということを常に忘れてはいけないと思っている。全学協は、これを支える広い自治的な議論の裾野があって初めて成り立つ。裾野を含めて大事にしていかなければいけない。改めて皆さんの努力に敬意を表し、感謝を申し上げたい」と全学協議会を締めくくった。

今回の全学協議会の議論をを受けて、現在は確認文書化が行われている。確認文書の調印式は年明けにも行われる見通しだ。

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