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探偵!ナイトスクープ30周年 立命OBのプロデューサーにインタビュー〈後編〉

 

ナイトスクープを手がける奈良井プロデューサー

人気バラエティ番組「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)が、今年で放送30周年を迎えた。30周年に際して奈良井正巳プロデューサーにインタビューを行った。同番組を手がける奈良井プロデューサーは本学のOB。後編では、探偵!ナイトスクープを始めとする番組制作についての話をお伝えする。(聞き手 石井)

 

 

 

―長寿番組に携わるということで、特別な意識等をすることはありますか。

「探偵!ナイトスクープ」は30年の歴史がある番組で、やはり重圧がある。歴史や伝統を守っていかなければならないが、守るためには常に新しいことをやっていかないといけない。だから、古ければ古いほど、新しいことをやらなければいけない比重が増えてくるんだよね。要するに、VTRを出しても「これ、前やったやん」とか「同じような結末、前にあったやん」というのをボツにしていく。新しい演出方法を思いついたらそれを入れていく。みたいなことは常に意識していますね。そしてほかの番組と比べて関わる人が多い。VTRに出演する一般の方も含めると、かなりの人が出ている番組。そういう人たちの思いを裏切らないようにというのは考えてやっています。面白くしゃべってくれた人は面白く、頑張ってくれた人は頑張っている様子をそのまま放送する。

―人が多いということですが、何人規模で制作されているのですか。

少なくとも、毎週行う企画会議には、プロデューサー、ディレクター、構成作家、ブレーンと呼ばれる調査リサーチをする人たちがいて、だいたい40人ぐらい。つまり、番組を作る「脳みそ」の部分には40人ぐらいいて。あとはさらにカメラマンなども含めるとすごい数。通常90~100人ぐらいで番組を作っている。関西で1時間のバラエティ番組としては非常に多いと思います。

―関西の番組ということに対する特別な意識はありますか。

それはとても意識していて、できるだけ取材とかロケとかは大阪でやるようにしています。関西の中でも大阪は特別で、笑いのセンスが「メッシクラス」。他の地域と比べても笑いのセンスがずば抜けているので、できるだけ大阪で。しかも関西弁でしゃべるようにしている。基本的には関西の匂いを残すことを意識しているが、司会の西田敏行さんが関西の人ではないから、番組を覆うトーンみたいなものは関西から外れてきているから、できるだけVTRは関西の匂いを強く出すことを考えてやっていますね。

面白い人が次から次へと出て来る玉手箱

―現在、「探偵!ナイトスクープ」は日本全国の広い地域で放送されていますが、それでもあえて大阪の色を強く出しているのですか。

やっぱり大阪の人が一番面白いから、面白いものを出そうとしたら、どうしても大阪中心主義になりますね。間寛平さんがナイトスクープの放送中に家に入ってテレビがついているかを見る「視聴率調査」という依頼があるんだけど、あんなの家に入れてくれるのは大阪の人だけですよ。夜の11時半とか12時に見ず知らずの男を家に入れてくれるなんてあり得ないですよ。そういう意味でも大阪は特別で、面白い人が次から次へと出て来る。玉手箱ですよ。ただ、番組を見ている人に合わすのではなくて、全国の人に大阪人面白いなと思いながら見てもらいたい。

―仕事をしていて楽しいことは何かありますか。

ほぼ全部楽しいな。会議しているときも楽しいし、色々な報告を受けているときも楽しいし、お客さんが入って、VTRがウケていたら楽しいですね。放送した後、面白かったねと言われるのも楽しい。申し訳ないぐらい楽しいことしかないかな。まあ、大人なことを言うと、ナイトスクープって一般の方から調査依頼をもらって、その人の人生に大きく関わる。恩人に会いたいとか、夫婦の中をどうこうとか。その人の人生に大きく影響を与えて、その人がより幸せになる姿を見ると、良い仕事しているなと思う。30周年特番で、過去の依頼ベスト10で1位になったのが23年間会話のない夫婦(「10年以上口をきいていない父と母」2013年4月放送)というで、しゃべったことのない夫婦にしゃべってもらうというだけのことなんだけど、家族にとっては本当に大きなことで、子供たちも本当はつらかったと思う。でもそれを笑いにしていって、ただ会話をしただけなのに、この家族にとって良かったなと思えることが起こったときに、本当に幸せだな、楽しいなって思いますね。番組で取り上げた人が少しでもより良い人生になったときに嬉しくなるかな。

ナイトスクープの収録が行われる朝日放送本社(大阪市福島区)

―今までの依頼の中で大学生におすすめするとしたら何ですか。

結構昔の作品になるんですけど、大和川を下って通勤する(「電車より速い!?大和川下り」1996年10月放送)というのがあって、通勤するのに家から電車に乗っているけど、電車だと迂回しているから川下りした方が速いのではないかというネタで、VTR自体が非常に面白くて。子供の時に誰でも思いつくことを大学生になってもちゃんと思っていてもらったら良いなと思いますね。大学生だからと変に大人びたりせずに。これをやったらどうなるんだろうということを思い続けて欲しいですね。あとはマネキンに恋した女(「マネキンと結婚したい!?」1997年1月放送)かな。以前訪れた酒屋にあるマネキンに恋をした女の子が結婚式を挙げるという話。あとは、大学生時代って色々な人と出会って、それまでは街や市単位でしか出会わなかったのが一気に全国、全世界の人たちと知り合うことになる。そこで、グローバルだなと思った話があって、「YOUは何しに日本へ?」(テレビ東京)でドイツ人カップルがナイトスクープを見に来たというんだよね。彼らはインターネットでナイトスクープを見ていて。それで朝日放送まで来たんだけど、収録も何もしてないから門前払いされて。でもせっかく来たから、23年間会話のなかった夫婦が座っていたベンチに行ったりしたんだけど。その放送後すぐに一般の方から「あのカップルを見捨てないでなんとかして下さい」という依頼がたくさん来て。彼らを探し出して、ロケに連れて行ったり、スタジオに連れて来たりしたんだけど。その時に僕らがやっている仕事って全世界に広がっているんだなと思ったんですよね。大学生でこれから色々な仕事をしようと思っている人は、これから相手にするのは世界だろうなと思っていて、そういう意味ではこの依頼(「ナイトスクープを愛するドイツ人をスタジオへ!」2017年6月放送)を見てもらって、世界に届く仕事をしていきたいなと思ってもらいたいです。

よりびっくりさせていくような番組にしていきたい

―今後「探偵!ナイトスクープ」をどのような番組にしたいですか。

ナイトスクープは固定ファンがいて、それぞれがイメージを持っている番組なので、ナイトスクープが好きな人をがっかりさせないように、よりびっくりさせていくような番組にしていきたいですね。常に新しいことをやっていきたい。

―今後どのような番組に携わりたいですか。

僕がやった番組で「コヤブ歴史堂~にゃんたの(秘)ファイル~」という番組があって、小籔千豊さんが歴史のことを学んでいくという番組で。それをやった時にこれは自分がやりたかった番組だなと思ったんですね。知識・教養番組をできるだけわかりやすく、しかも楽しく笑える形でお届けするというのがある程度できた番組。今後は歴史とバラエティが融合しているような、あとは「ブラタモリ」(NHK)のように地学とバラエティが融合しているような番組をやりたいと思っています。ロケが中心で、現場に行って学びがあるような番組をやりたいと思っています。

―なぜスタジオではなくロケなのでしょうか。

それは単純に僕はロケが好きなんですよ。ロケに出て行くと知らない一般の人とたくさん出会えるし、そういう人たちの方が面白いからね。みんな色々な人生があって、そこが面白いんですよ。そういったものに触れ合いたいなと思います。ただ、芸人がロケに行って、人生に触れ合うというのは既にたくさんあるから、一歩進んで、歴史とかが学べる番組があると良いなと思います。

―本学の学生に対してのメッセージをお願いします。

以前講義したことがあって、その時にも言ったけど、大学の時に真剣に付き合っている友達は一生付き合うことになるし、おそらく苦しいときに一番助けてくれる。今いる友達を大事にしてほしいなと思う。卒業するときにおそらくほとんどの人が就職という一番大きな岐路に立つでしょう。その時に色々な人の意見を聞いて、自分の人生をちゃんと考えてほしいなと思う。大学生時代はなかなか取り戻せないから、青春を謳歌してもらいたい。だけど、だらだら過ごすより、何か打ち込めるものを見つけると今後の人生にとってはプラスだと思います。僕がまだナイトスクープのディレクターだった時に、ロケでそ当時の劇団立命芸術劇場の部室に行ったんですよ。その時に僕が来ているのを見て、テレビ業界に入れるんだと思った学生が、後にナイトスクープのディレクターやっていましたよ。このように大学時代に自分の人生が決まる人が大半だと思うから、一生懸命謳歌して、友達を大事に、あと、「グレーター立命」を覚えることかな(笑)。

めっちゃおもろいから来たらええやん

テレビ・マスコミ業界を志望する学生に対してのメッセージをお願いします。

めっちゃおもろいから来たらええやんって感じかな。今はインターネットの発信力が強くて、テレビとかはオワコン的な扱いで語られることが時々あるけど、全然そんなことなくて。テレビに限らず、映像・メディアが商品になる時代はまだまだこれからなので、ぜひテレビ業界に来てほしい。あと、自分の強みを大学生時代に作っておいた方が良いと思う。周りの人が覚えてくれるような特技が何かあれば良い。

―その強みは、奈良井プロデューサーの場合は何ですか。

無駄に自信があるってことかな。変な話だけど、本番に強い。大学生時代に、演劇部の人でラジオのCMのナレーターの募集があって、僕が採用されたんだよ。そういうことかな。あとは、演劇だけはたくさん見ていたし、プロレスが好きだから、演劇やプロレスの話は誰とでも合うなと思っていた。

―強みというのは趣味のようなものでも構わないのですか。

良いと思う。だって、そんなのしかないでしょ。ナイトスクープでやったのは、指パッチンがすごくできるからと言って、番組でギネスに挑戦したら認定されたんだよ(「ギネス更新!?高速指パッチン」2016年11月放送)。そんなものでも良いなと。僕と言えばこれですという何かがあれば良いかな。

PROFILE
奈良井 正巳(ならい・まさみ)
兵庫県明石市出身。1991年3月、立命館大学産業社会学部人間・文化コース卒業。大学卒業後は朝日放送テレビ株式会社に入社。制作局で「探偵!ナイトスクープ」「朝だ!生です旅サラダ」「LIFE」などのバラエティ番組や、「女帝」「富豪刑事デラックス」「崖っぷちのエリー」「レガッタ」「わるいやつら」などのドラマ番組等でディレクター・プロデューサーを経験。

朝日放送テレビ(ABCテレビ)
「探偵!ナイトスクープ」
毎週金曜よる11時17分~放送
視聴者から寄せられた素朴な疑問・依頼を、西田敏行さん扮する探偵局長が探偵たちを派遣し、依頼者と共に調査し解決してゆく。

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