文化・芸術

あべのハルカス美術館で「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」【文化ガイド】

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が10月12日に、あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区)にて開幕した。開幕に先立って11日には報道関係者向けの内覧会が行われた。ウスター美術館(アメリカ)の所蔵品を中心に展示し、アメリカにおける印象派の諸相に注目。その衝撃と影響をたどっている。

同展は、当初酷評されるも西洋美術の伝統を覆した印象派が、ヨーロッパやアメリカにもたらした衝撃と影響をたどる展覧会。「第1回印象派展」から150周年を迎える今年、ほとんどが初来日となるウスター美術館の印象派コレクションが展示された。

開幕に先立ちあいさつをする浅野館長=10月11日、大阪市阿倍野区

同館の浅野秀剛館長は展示について「ご自身の目で作品を見ていただいて、これはいいなとか、これは特別だとか、そういう作品を探していただきたい」と話している。

展示は、第1章「伝統への挑戦」、第2章「パリと印象派の画家たち」、第3章「国際的な広がり」、第4章「アメリカの印象派」、第5章「まだ見ぬ景色を求めて」の全5章で構成。日本でも知られているモネやルノワールなどフランスの印象派に加え、日本で紹介される機会が少なかったアメリカの印象派の魅力に迫る。

第1章「伝統への挑戦」では、アメリカの画家が、地元の身近なものに目を向けてアメリカらしさを表現する「アメリカ的な」作品の展示。大西洋の両岸における、印象派の先駆けとなる画家たちの作品を楽しめる。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー《ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所―池畔の釣り人》1865―70年 油彩、カンヴァス Bequest of Mrs. Charlotte E.W. Buffington, 1935.45 ウスター美術館所蔵/Image courtesy of the Worcester Art Museum

続く第2章 「パリと印象派の画家たち」ではフランス印象派の画家たちに加え、彼らと交流を持ち影響を受けたアメリカ人画家の作品が展示されている。

クロード・モネ《睡蓮》1908年 油彩、カンヴァス Museum Purchase, 1910.26

「印象派」という新しい絵画の様式は、パリで印象派に触れた画家が自国へ持ち帰ることで国際的に広まった。第3章「国際的な広がり」は、各地で独自の広がりを見せたそれらの作品の展示。明治期にパリに留学した画家らにより、日本にも印象派は伝えられた。同章では日本における印象派受容の一端もたどる。

黒田清輝《草つむ女》1892年 油彩、カンヴァス 東京富士美術館©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom Image courtesy of Tokyo Fuji Art Museum

第4章 「アメリカの印象派」は地域ごとに少しずつ異なる様相を見せるアメリカにおける印象派の作品の展示。フランス印象派に忠実な画家や、その様式にアレンジを加えアメリカらしい田舎風景や家庭内の情景を捉えようとする画家たちも登場した。

チャイルド・ハッサム《シルフズ・ロック、アップルドア島》1907年 油彩、カンヴァス Gift of Charlotte E.W. Buffington in memory of her husband, 1908.5 ウスター美術館所蔵/Image courtesy of the Worcester Art Museum

さまざまな地で制作することを可能にした印象派の様式は、画家たちをアメリカ西部へと駆り立たせた。第5章 「まだ見ぬ景色を求めて」では、色彩、象徴、形態といった要素の探求に重きを置き、より抽象的な表現様式へと移行したポスト印象派の作品を展示する。

デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-16年 油彩、カンヴァス Museum Purchase, 1916.57
グッズ売り場の様子=10月11日、大阪市阿倍野区

同展の会期は2025年1月5日まで。開館時間は火~金曜午前10時〜午後8時(月曜・土日祝日は午後6時まで)。入館は閉館30分前まで。休館日は12月31日、1月1日。入館料は大学生の場合1600円。詳細は大阪会場公式サイトを参照。大阪会場公式ホームページhttps://www.ytv.co.jp/moneame/

(今井、吉江)

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