本学大阪いばらきキャンパス(OIC)で10日、立命館憲章改正案の修正についての懇談会が対面とオンライン上で実施され、修正の趣旨についての説明と質疑応答が行われた。対面とオンラインをあわせ、参加者は約20人だった。
懇談会は3キャンパスで行われる予定で、今回はその初回。オンライン上では、英語の同時通訳が配信された。
懇談会の様子=10日、大阪府茨木市・OIC岸道雄・副学長が司会を務め、立命館憲章改正検討委員会で委員長を務めた高山茂・副総長と、事務局長を務めた山下範久・常務理事が登壇した。
冒頭、高山副総長が憲章改正の発議や修正の経緯・理由などを説明し、続いて山下常務理事が修正案の内容について説明した。
高山副総長は、「現行憲章の制定当初より、憲章は時代の変化に合わせて改正されるものとして位置づけられている」として、今回の改正への理解を求めた。その上で、憲章制定からの学内外での変化を踏まえ、「今後目指す立命館学園の在り方」を憲章改正案に込めたと説明した。
今回の修正については、意見集約で寄せられた改正案の受け止め方と検討委の考え方に「齟齬(そご)」があったためだという。
高山副総長は今後、憲章のより一層の浸透を図りたいとし、解説文書の作成などの取り組みを強化したいとした。
山下常務理事は最初の意見集約について、「歴史認識や学園運営において重い意見を頂いた」と振り返った。その上で、検討委での議論と集まった意見の間に、「意図の持ちようで違いはないが、それが伝わっていない」とし、修正に至った背景を説明した。
修正案の内容を説明する山下常務理事=10日、大阪府茨木市・OIC「戦争の痛苦の体験」に関する文言については、検討委での議論を踏まえ、そのままの文言では引き継がなかったが、意見集約で寄せられた意見の重みを踏まえ修正案では再び記述したという。
「自主、民主、公正、公開、非暴力の原則を貫き」という文言について、2006年に初めて登場した言葉だと説明した上で、その理念は「平和と民主主義」で表現できると判断し、改正案ではそのままの文言を引き継がなかったという。しかし、意見集約を踏まえ、現行憲章の歩みの中で文言が定着し一定の意味を持っていたと判断して、再び記述するに至ったという。
終了後、高山副総長は本紙の取材に応じ、「学園構成員に向けた意見集約と合わせた懇談会を行うことで、より一層立命館民主主義にのっとったプロセスとすることできた」とコメントした。
参加した映像学部の学生は「公開の場で丁寧に説明していただいた」と懇談会の開催を評価した上で、「時間の使い方をもう少し工夫した方が良いのでは」と改善点を述べた。
◇ ◇ ◇
懇談会の質疑の要旨は次の通り。
――改正案の受け取られ方について、表現の問題ではなく、理念の不継承が問題だったのでは。
高山副総長 「改正の過程で現行の憲章を否定する意図は全くなかった」
山下常務理事 「現行の憲章の意図をより良い形で継承する改正案を目指した」
――時代的な政策を普遍的な憲章にまで書き込むのは違和感を感じる。
山下常務理事「現行の憲章自体が立命館学園の中長期の計画を立てる際の文脈をなす文章としてつくられている」
――憲章を浸透させる取り組みは。
高山副総長「付属校生に立命館のマインドを示すことも重要だ。具体的には解説文書を作り、付属校で解説書を使った勉強会などをやっていくつもりだ」
(星野、松山)
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