【11月号紙面より】
京都市交通局は来年3月、発行している一部の乗車券の改称と価格改定を実施すると発表した。
これにより市バス・京都バス一日乗車券カードは「バス一日券」として元の価格より100円値上げした600円、京都観光一日・二日乗車券は「地下鉄・バス一日券(二日券)」として現行より300円安い、900円と1700円で発売される(以下、新名称で記載)。
バス一日券の値上げの目的を、同局は価格適正化としている。現状、この乗車券の利用者は、平均して4回以上バスに乗っており、発売価格からみると1回当たりの運賃が125円と、普通運賃の230円と比べ大きな格差が生じている。加えて、路線やダイヤの充実や均一運賃区間の拡大、同区間内での京都バス利用が可能になったことなどから、発売価格を値下げした2000年度当時よりも利用価値が大きく高まっている。これらの理由から「3回以上乗ればお得」という価格帯を維持しつつ100円の値上げに踏み切った。
またバス一日券の発売枚数が年々増加し、一昨年には614万枚まで増加するなど、観光客の市バス利用集中も価格改定の理由の1つだ。地下鉄とバスが乗り放題となる地下鉄・バス一日券等の販売枚数は年50万枚前後と横ばいで、バス一日券との格差は大きい。このため同局は、地下鉄・バス一日券を900円とし、バス一日券との価格差を300円に縮めることで、市民や観光客にバスだけでなく地下鉄の利用を促し、市バスの混雑を緩和させる狙いがある。
同局では、バス一日券の使用回数が4回以上の利用者の2~3割が地下鉄・バス一日券へ移行すると算定している。この価格見直しによって約2~4億円ほどの収益増加が見込まれ、その収益はトラフィカ京カードの乗継割引額の拡充、バス待ち環境の整備や増車・増便など利用客へのサービス向上に充てられる予定だ。
なお、現行の乗車券類が来年度以降利用できるのかについては未定である。
バスの前乗り方式の実証実験も10月に実施されるなど、京都市交通局は利便性向上のための取り組みを進めている。今後の動向にも注目だ。 (小板橋、吉武)