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市民メディアの可能性検討 OICでメディフェス開催

■住民自ら「ニュース砂漠」解消へ

住民自ら行政監視を行い、メディア発信を行いながら町を変えて行こうとするメディアがある。午後4時半からは「ジャーナリズムをやってみよう ハイパーローカル・ジャーナリズムのすすめ」をテーマに、各地で報道を続けるジャーナリストが、市民メディアの可能性と課題について語った。

参加者が多く集まった会場=24日午後、茨木市

「『ニュース砂漠』が日本でも起こっている」。セッションの司会を務めた、本学映像学部の小川明子教授(メディア論)は語る。民主主義的に私たちが知っておくべき地域のニュースが伝わらない状況になっている中、超地元密着型の「ハイパーローカル・ジャーナリズム」の最前線に立つジャーナリストが登壇した。

調査報道の役割を語る屋久島ポストの武田さん=24日午後、茨木市

2021年に創刊した、鹿児島・屋久島の住民有志による調査報道メディア「屋久島ポスト」。公文書開示請求を基に、屋久島町政の調査報道を行い、無料のブログサイトで発信している。ブログで公開する理由について、費用削減のほか「市民が誰でも簡単に調査報道し、ネットメディアを持てるというモデルケースを作るため」だと、共同代表の武田剛さんは説明する。

屋久島町は、報道機関による監視の目が届きにくい。「マスメディアに見放されたから住民がやるしかない」と立ち上がり、町政を報じてきた。「ブログのメディアだが、町議員や住民と連携して進める中で、確実に町政を変える力になってきた」と感じるという。「私たちの目的は報じることではなく社会を良くすること。きっかけをつくり、市民を助け、背中を押していくことが役割だ」と考えを話した。

NEWSつくばの課題を説明する鈴木さん=24日午後、茨木市

茨城県南部のウェブニュースを発信する「NEWSつくば」の記者・鈴木宏子さんは、現状と成果、課題や目指す姿を説明した。17年に休刊した「常陽新聞」の元記者らにより同年設立された「NEWSつくば」。権力監視を軸に据え、地域の社会課題解決を目指した。

現状、取材費用を広告費用でまかなっている状況で、記者はボランティア。「7年経って持続可能な経営モデルを見通せないのが課題だ」という。「ボランティアゆえ、ニュース配信以外手が回らない。他の力を借りながら、調査報道が次世代の記者を養成していきたい」と話している。

「奈良の声」の強みを語る浅野さん=24日午後、茨木市

奈良県内で調査報道、独自ニュースなどに取り組む「ニュース『奈良の声』」からは、浅野善一さんが登壇。10年に立ち上げて以降、1200本を超える記事を配信してきた。22年には「ジャーナリズムXアワード」(ジャーナリズム支援市民基金運営)で大賞に次ぐY賞を受賞している。

従来のメディアとは異なるルートで「埋もれている、声にならない声」を追う「奈良の声」。浅野さんは「市民メディアは組織として小さい分、自由度が高い。一つのネタを追い続けられることが強み」と語った。

ホワイトボードに寄せられた「住民記者のトレーニング」に関するアイデア=24日午後、茨木市

セッションの後には、支援者をどう増やすか、住民記者のトレーニングはどうすればよいかなど、市民メディアが抱えるさまざまな課題に対する参加者の考えを、ホワイトボードに集めていた。参加者らは多くのアイデアを書き込み、共有することで課題に対する考えを深めた。

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