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第9回京都本大賞 藤岡陽子さんの『メイド・イン京都』に

10月28日、京都本大賞が発表された。京都本大賞とは「京都を舞台にした小説の中から、最も地元の人に読んでほしい作品」を選ぶもの。第9回となる今回の受賞作は、藤岡陽子さんの『メイド・イン京都』。主人公が京都でものづくりの楽しさに魅せられ、自身を成長させていく姿を描く。

大賞受賞を受けた今の思いや作品の内容について、著者の藤岡陽子さんにインタビューを行った。

『メイド・イン京都』の書影

 

◯京都本大賞を受賞した今の気持ちを聞かせてください。
ーそもそも京都本大賞という賞を特に意識せずにこの作品を書いたので、受賞したこと自体に驚いています。作中では京都の良いところだけでなく、嫌な部分もかなり書いたので、まさかこんな賞をいただけるとは思っていませんでした。自分は生まれも育ちも京都で、青春時代を過ごした地でこの賞をいただけたことがとてもうれしいです。

「京都本大賞」授賞式のようす

 

◯本作を書くことになった経緯を教えてください。
ー私が書いてきた本は、作中で京都に触れることがあったのみで、京都がメインの作品を今まで書いたことがありませんでした。今回、編集者さんから「京都を舞台にした小説を書いてみませんか」とお話をいただき、本作を書くことになりました。
また本作は、日本がコロナ禍で緊急事態宣言が出たころに執筆をしました。京都を取材したのもこの時だったのですが、あんなに人がいない京都は生まれて初めて見たかもしれません。閑散とした京都を目の当たりにして「京都が寂れている」と感じました。改めて京都の魅力を伝えたいという思いも強かったです。

◯どんなところに注目して読んでもらいたいですか。
ー本作の主人公は、婚約をきっかけに東京から夫の実家がある京都に移り住み、京都独特の文化や言葉に戸惑います。京都に住んでいる人には、京都人の話し言葉や振る舞いが他の人には新鮮に聞こえることに驚きを感じてほしい。京都以外に住んでいる人にとっては、主人公の気持ちに共感を持てる箇所が多くあるのではないかと思います。どんな人にも楽しんでもらえる作品です。
また京都は、古いものを残しつつ新しいものを積極的に取り入れているのが魅力だと考えています。京都や京都人のそういった柔軟さやしたたかさを本作から感じてもらえたらうれしいです。

オンライン取材に応じる藤岡さん

 

◯今後はどんな作品を書きたいですか。
ー今回「メイド・イン京都」を書いたことで、自分でも改めて京都の魅力を感じることができました。京都を舞台にした作品はこれからも書きたいですし、たとえば京都の商いなどに焦点を置いた小説を書いてみたいとも思っています。

◯本学学生に向けて、一言お願いします。
ー私が講演会などで学生さんに話をする時に言う言葉に「黒星も星のひとつ」というものがあります。
たくさん挑戦して失敗し、たとえ「黒星」がついたとしても、それらは皆さん自身のなかの「星」となり「人生の指針」となります。とにかく行動を起こさないと成功も失敗もできません。
大事なのは、一つひとつを自分の力でクリアしていくこと。ぜひ積極的に行動し、進んでいってほしいです。
(坂口)

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