11月29日、本学衣笠キャンパスの存心館311教室にて、倫理学的な観点から見た「安楽死」をテーマにした本学法学会2024年度秋学期学術講演会が行われた。
「安楽死」とは、回復の見込みのない患者を苦痛から解放するため、その生命を終結させることだ。「尊厳死(生命維持治療を行わないこと)」とは一般的に区別される。
同講演会は本学法学会学生委員会が主催したもので、講師は京都大学大学院文学研究科・児玉聡教授。「倫理学から見た安楽死問題」をテーマに、講義と並行しながらアンケートを使って学生の意見を聞きながら、国内外の事例や倫理学の観点からの課題について取り上げた。
海外ではいくつかの国で安楽死、ほう助自殺、もしくはその両方が法律で認められている。一方、日本ではそれら全てが認められていない。日本で安楽死を望む人は海外へ渡航するという例もあり、法整備のない日本の現状や自殺防止対策の観点などさまざまな議論を呼んでいる。
今回の講演会では、治療中止と安楽死をどうみるか、すべての殺人が許されないのか、といった倫理的議論を取り上げた。安楽死という選択肢を選ぶ前に緩和ケアを重視すべき、日本で安楽死を認めるのは時期尚早である、など安楽死に反対する意見をいくつか取り上げ、参加した人々にどう考えるか問いかけた。
講演会に先立ち、22日には事前学習会も行われたこともあり、今回の講演会にも法学部生や他学部・研究科生のほか、一般の参加者も見られた。参加した法学部の学生は「取り上げていた事例は事前学習会ともかぶる内容であったから、倫理学からの観点で学ぶことができて良かった」と話した。
本学法学会学生委員会委員長の井上翼さん(法2)は「参加者が100人を超えたということは、それだけこの分野への関心が高く、本当にうれしく思っている。学生委員会では、全学向けに開催している学術講演会などがある。ぜひ今後もご参加いただければ」と語った。
(長尾、八木)