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【社説】総長選挙制度の見直しを

【2018年12・1月号紙面より】

 

4年間の立命館学園を先導する新総長に仲谷善雄氏(60)が就任した。昨年11月4日投開票の総長選挙では第一次投票で過半数を超える248票(有効投票409票)を獲得したことからも期待度の高さがうかがえる。しかし、総長選には学生の民意がどれほど反映されただろうか。

「煩雑な選挙制度 学生に伝わらず」

 総長決定後、多くの学生から「総長選が行われていたことを知らなかった」という声が聞かれた。学生の知らぬ間に学園全体の教学を統括する総長が決定している。原因となっているのは複雑な選挙制度にある。本学の総長選は間接選挙制度を採用している。学生や教員などの学園構成員による投票で選挙人を選出し、その選挙人による投票で総長が選出される。

間接選挙制度はアメリカ大統領選挙などでも用いられているが、選挙人決定後に総長候補者が選出されるという点に本学総長選の特徴を見ることができる。つまりこの選挙制度では、構成員はどの総長候補者に投票するのかを全く認識しないまま選挙人を選出しなければならない。投票した後は、構成員が直接的に選挙に関わることはない。これでは学生が総長選に関心を持てないのも無理はない。

「全構成員自治の理念 実現を」

 総長選に対する学生の関心を高めるための働きかけも大学は怠った。学生有志が主催した候補者討論会は当初、大学側から難色が示され、また総長選挙用のホームページは、ほとんどの学生に周知されていなかった。

本学が掲げる全構成員自治の実現のためには、ブラックボックスのような総長選挙の仕組みを改めなければならない。大学側は間接選挙制度を採る理由を「総長選が人気投票になってはならないから」と説明しているが、あまりにも学生を軽視している。本学の総長選が議論を尽くして民主主義的に行われているとは言い難い。

学園は総長選を学生一人ひとりが学園の未来を考え、語り合う契機とすべきだ。全構成員自治を体現するためには、現在の選挙制度に拘泥せず、直接選挙制度の導入や立候補制への変革など時代に合わせた改革を行うべきである。4年後の総長選に向けて、選挙制度の見直しが求められる。

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