京都の老舗木造ライブハウス、磔磔（京都市下京区）が今年、創業50周年を迎えた。またそれに伴い、3月21日から5月26日にかけて50周年記念ライブが開催され、近藤房之助さんや麗蘭、くるりといった磔磔となじみ深いアーティストを始めとし、大森靖子さんやa flood of circleなど総勢70組を超える幅広いアーティストが50周年を盛り上げた。
磔磔は1974年に創業した木造のライブハウス。営業を終えた酒蔵をレコード喫茶としてリノベーションし営業を開始したという歴史を持つ。現在でも酒だるを再利用したテーブルなどが用いられており、当時の空気を残している。また、木造建築が実現する跳ね返りの少ない独特の音が強みだ。
「丁寧な仕事をし、楽しんでもらえるように心がけてきた」。50周年を迎え、店長の水島浩司さんはアーティストや来場者との関わり方についてこのように振り返る。
全国のライブハウスが苦境に立たされたコロナ禍においてもこの姿勢は変わらなかった。ライブのキャンセルが相次ぎ、来場者数も普段の1、2割程度に減少するなか、当時新たに取り入れた映像配信では音と映像の質を意識し、従業員全員で映像や録画機器の使い方などを一から練習したという。
店長を務める水島浩司さん新型コロナウイルスが第5類感染症に移行し、客足も徐々に回復しつつある。「例えば100周年を迎えた時、僕がいなくても誰かが磔磔を続けて、その時の面白い人が何か楽しいことをしている場所としてつながっていって欲しい」。磔磔の今後を見据え、水島さんは語る。
(大池)
