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【社説】重い学費負担の軽減へ 奨学金の拡充急務

経済的に厳しい状況にある人々が、それを理由に大学への進学を断念することは、あってはならない。

京滋地区私立大学教職員組合連合(京滋私大教連)が昨年実施した調査によると、私立大の下宿生の初年度費用は、2020年度から増加の一途をたどり、平均で約295万円に上るとみられる。奨学金制度の拡充など、国による学費負担の軽減策が必要ではないか。

「教育の機会均等」の実現は、日本国憲法や教育基本法で定められた原則である。学費の負担が軽減されれば、多くの人々が学びの選択肢を増やすことができる。不安を感じず学べる環境を整えるために、各種支援策を講じることが急務だ。

経済的支援策の要が奨学金制度だ。日本学生支援機構は22年度、34万人の学生に奨学金を給付し、113万人の学生に奨学金を貸与している。

しかし、近頃は借り入れを控える傾向がある。京滋私大教連の調査によると、奨学金を申請しないと回答した家庭は6割近く。卒業後に背負う多額の返還負担を避けたいものとみられる。

返済が不要な給付型奨学金や、無利子で借りる奨学金であれば、負担は軽い。だがいずれも厳しい家計基準があり、借りることができる人はそう多くないのが実態である。希望者全員が無利子の奨学金を受給できる制度を整えることが理想であろう。

現行の奨学金制度のままでは、借り控えの傾向はなくならない。「経済的困難で進学を断念させない」という本来の奨学金の在り方を再確認し、制度を拡充するよう求めたい。

京滋私大教連は、学費負担の軽減や大学への助成を国会に請願するため、署名活動を実施してきた。2000年以降提出してきた署名は750万筆を超える。光熱費や物価の高騰による財政難という苦境に立つ大学にも目を向けながら、学費負担の重さにあえぐ多くの学生の声に耳を傾けてほしい。

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