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市民メディアの可能性検討 OICでメディフェス開催

本学大阪いばらきキャンパス(OIC)で23日、メディア活動の担い手らが交流するイベント「メディフェス(市民メディア全国交流集会)2024 in 関西」が開催された。災害報道など、各地で模索されるさまざまな試みが集結。テーマごとにセッションが行われ、参加者は、デジタル技術の進展により変容した新たな環境での市民メディアのあり方について考えた。

オープニング・セッションを仕切る北村教授=24日午後、大阪府茨木市・OIC

メディフェスは、2004年から開催されており、今回で19回目。デジタル技術の進歩により市民活動と連動して各地で生まれた新たなメディア表現の動きを、全国とつなぐことで確かなものにしようとする動きがきっかけだ。

コミュニティー放送や地域メディアなど、全国各地で活動するメディア関係者、地域の人々が交流し、意見交換する場として機能している。

今回のメディフェスは、映像学部の北村順生教授(地域メディア論)ら「メディフェス2024実行委員会」と本学のクリエイティブ・メディア研究センターが主催した。

(井本、小林)

■小さな声が「開かれる」 コミュニティーラジオ

「コミュニティーをひらくラジオ」というテーマのもと、セッションが行われた。コミュニティーラジオは、マスメディアでは伝えきれない「小さな声」を伝えるメディアとして注目されてきた。セッションでは、こうした小さなコミュニティーの声が、他のコミュニティーに開かれていくプロセスに焦点を当て、「京都三条ラジオカフェ」や「コウセイラジオ」などの関係者が登壇した。

京都三条ラジオカフェが目指す社会について話す西村さん=24日午後、茨木市

「京都三条ラジオカフェ」(京都市中京区)は2003年、日本初のNPO法人によるコミュニティーラジオとして誕生した。同放送局では、「番組オーナー」となる市民が自由なテーマで放送。番組は地域住民によるものだけでなく、全国各地から届けられる。セッションには放送局長の西村遥加さんが登壇し、同放送局の歴史や現在の様子などを紹介した。

現在、音声・動画配信サービスの充実化により個人が自由に発信できる場が増えている。それら他媒体とどう差別化を図るか問われると、西村さんは「公共の電波を使うことは社会性を伴う」と回答。「公共の電波で自己実現できることが京都三条ラジオカフェの魅力になってほしい」と話した。

コウセイラジオの活動について話す小笠原さん=24日午後、茨木市

「エフエムとよた」(愛知県豊田市)で放送されている「コウセイラジオ」。名古屋刑務所や愛知少年院が近隣にあることから、刑務所や少年院を出た人によるスタジオトークや、少年院に入っている少年が活動で制作した詩の紹介などを主に行う。番組は少年院内でも放送され、塀の中と外をつなぐ役割も果たす。

2022年から放送を開始し、24年には23年度に放送された優れた番組を顕彰するギャラクシー賞の報道活動部門で選奨を受賞した。

「出演者の再犯防止や、少年の出院後のロールモデル形成にも貢献している」。登壇した芳賀美幸さんはコウセイラジオが担う社会的意義にも言及した。芳賀さんは中日新聞の記者であり、番組ではパーソナリティーを務める。

参加者からは多くの質問が飛び交った=24日午後、茨木市

また同じく登壇したエフエムとよたの小笠原禎志さんは「民間放送に比べ、コミュニティーラジオは聞く人が少ない。炎上のようなものはなく、共感の声のみが届く」とし、「その分、本音が言いやすいのでは」と見解を述べた。

京都三条ラジオカフェの西村さんは、「京都三条ラジオカフェは20年以上の歴史を持っている。メディフェスを通して、昔の姿を知っている人に、今の姿も知ってもらいたい」と話した。

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