約50年前は学生街として栄えていたという、京都市右京区の龍安寺参道商店街。4軒の麻雀荘や3軒の食堂、風呂屋があったこと、正門が商店街に近い南側にあったことで、主に2部(夜間)の学生が利用していたという。しかし、今ではすっかり学生の姿は消え、地域住民のコミュニティースペースへと変化している。
現在の龍安寺参道商店街。店の数が少なくなった商店街創生センター(京都市下京区)によると、府内の多くの商店街では店主の高齢化が進み、後継者問題に悩まされている。龍安寺参道商店街でも、同様の問題や、移動手段がない高齢者らが店まで行けない「買い物困難者」問題を抱えていた。
そうした中、商店街事務局の片山直明さん、勝山恵子さんらが始めたコミュニティースペース「とんぼの家」では、カフェの出店や惣菜の販売などが行われ、多世代間の交流の場として重宝されている。片山さんと勝山さんは、地域活性化のために何かチャレンジしたいという地域住民や学生の背中を押そうと、さまざまな支援を行ってきた。
新型コロナウイルス禍の2020年8月、とんぼの家を開店。きっかけは、観光客がトイレを使おうと商店街の飲食店に立ち寄ることが多くなったことだった。龍安寺近くにトイレがないことが問題だったが駅や公園へのトイレ設置が難しく「自分たちで作るしかない」と、休憩所としてとんぼの家をスタートさせた。
憩いの場となっているとんぼの家現在は、日替わりでカフェを開くほか、地域住民の寄付により集まった商品でフリーマーケットも行う。また、祭りやミニマルシェを月に1回ほど開いている。子どもたちの遊び場や親の息抜きの場として、外国人観光客は休憩場所として立ち寄り、にぎわいを見せている。
さまざまな商品が並んでいるフリーマーケット日替わりでパンを販売する「RGセレクトパン屋さん」の開店時、龍安寺参道商店街は場所を提供した。カフェの店長をやってみたいという学生には店舗と道具を貸し、本学学生と共に文化体験のイベントを開催したこともあるという。
片山さんは「子どもたちともお年寄りとも触れ合えるのが(商店街の)魅力。全力でサポートするから(商店街活性化や自分自身の経験のために)特技ややってみたいことを使ってカルチャースクールを開くなど、ぜひとんぼの家でやってほしい」と期待を寄せた。
勝山さんは、「若い人たちがどんどん来て盛んにし、商店街を持続させていってほしい」と願いを語った。
龍安寺参道商店街では、11月9日に秋祭りの開催が予定されている。
(矢野)
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