宇宙研究「安全保障に吸引」 問われる軍事研究との関わり
「学園の根幹を揺るがしかねない」―― 。2028年度に設置する構想が発表された「宇宙地球フロンティア研究科(仮称)」を巡って、軍事研究との関わりが問われている。
3月23日、学校法人立命館が新研究科を2028年度に開設する構想を発表した。理学・工学・マネジメントを柱とし、入学定員は博士前期課程で100人程度、博士後期課程で15~20人程度を想定している。

「軍事・防衛研究への関与は学園の根幹を揺るがしかねない」。本学教職員組合は2025年8月、機関紙「ゆにおん」上で新研究科に対する危機感をあらわにしていた。
教員らの懸念の背景には、近年強まっている政府による学問を軍事転用する流れへの危機感がある。
研究科長に就任することが発表された中須賀真一さん(当時東京大教授)は4月1日時点で、防衛省の防衛科学技術委員会で委員長代理を務めている。学内からは「平和と民主主義」を掲げる本学の理念との整合性を問う声も上がる。
ある政策科学部の教授は「研究科長に就任する前に(委員長代理を)やめてもらわなければ」と訴えた。
「開発資金と開発目的の面だけでなく、需要先も含めて将来的にも軍事・防衛研究への関与を拒否し続けられるかを明確にする必要がある。多様な研究が『安全保障』に吸引されてしまう懸念がある」
教職員組合で書記長も務めた経営学部の山崎文徳教授も危機感をあらわにする。
防衛科学技術委員会は「防衛省が直面する科学技術及び安全保障に係る諸課題の解決に向け科学技術に関する政策及び施策の企画立案の促進に資する」ために設置された。情報保全の観点から全ての委員が防衛省の参与(非常勤職員)となり、防衛大臣への助言を行う。
同委員会は米国防総省の「国防科学委員会」をモデルに設置された。官民の「防衛イノベーション科学技術研究所」や、安全保障技術研究推進制度=①=などから成る「軍産学」連携体制における司令塔とも認識されている。
①安全保障技術研究推進制度 防衛装備庁が公募する研究助成制度。将来的な軍事転用が期待される先進技術に対して、最大5年で20億円を助成する。日本学術会議が2017年の声明で「政府による研究への介入が著しく問題が多い」とするなど、学術界からは反発が上がっている。本学は応募を禁止している。
「平和と民主主義」を教学理念として掲げる本学は、これまで「軍事研究は行わない」姿勢を堅持してきた。
学校法人立命館の仲谷善雄総長は4月、本紙の取材に対して新研究科を念頭に「これからも『平和と民主主義』を教学理念とし、知を通じて平和を創造し続ける学園であることを誓う」と従来の方針を今後も堅持する姿勢を示していた。
(星野)
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