本学びわこ・くさつキャンパスに2028年度、新設されることが発表された「宇宙地球フロンティア研究科(仮称)」。「宇宙」を冠する大学院は日本初となる。新研究科を巡っては、宇宙技術には、軍事、民生のどちらにも応用可能な「デュアルユース(軍民両用)」の一面があることから、かねてから軍事研究との関わりが指摘されてきた。 学問と軍事の関係にどう向き合っていくべきか、宇宙物理学者の池内了さんに聞いた。(聞き手・星野)

池内了さん=本人提供

いけうち・さとる 名古屋大学名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。1944年、兵庫県生まれ。1972年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。専門は宇宙物理学・宇宙論、科学・技術・社会論。著書に「物理学と神」(講談社学術文庫)、「江戸の宇宙論」(集英社新書)など

今、日本は非常に危険な状態にある。国全体が「安全保障」の名目で軍事化している。憲法を改悪するという話もある。防衛予算が突出して増加している一方、教育研究への予算はほとんど増えていない。学問に対する直接の圧力はまだないが、予算によって軍事の方へ流れざるを得ない状況だ。じわりと軍事によって学問が圧迫されている。

安全保障技術研究推進制度への応募を解禁する大学も増えている。大学が財政的に圧迫されていることが背景にある。大学側も同制度を単なる「競争資金」として捉え、直接的な軍事研究ではないとして応募を解禁している。

防衛装備庁が公募する以上、何らかの軍事的な関わりが背景にあることは明白だ。同制度が軍事研究ではないという言い訳は非常にずる賢い。

そもそも、宇宙研究は軍事とは切っても切れないものだ。日本においては、宇宙航空研究開発機構(JAXA)法などで宇宙開発は「平和利用に限る」とされ、歯止めがかかっていた。しかし、2008年の宇宙基本法で「わが国の安全保障に資するよう行わなければならない」 と定められるなど、近年ではその歯止めが効かなくなっている。

いかなる技術も軍事転用され得る軍民両用(デュアルユース)だ。軍事転用され得るからその研究をやめるということはできない。今私たちに問いかけられているのは、技術が軍事に応用されることをどう考えるのかという問題だ。技術を軍事に応用する大きな流れにどうあらがっていくのかを考える必要がある。軍事利用させないという一線を引く必要がある。

技術・研究が軍事転用されていないか、継続的に監視するような制度が必要なのではないか。現在の大学では、さまざまな資金に応募する際の審査しか行われていない。応募した後も実際に進んでいる技術・研究が軍事転用されていないか継続的に監視する制度が必要なのではないか。学生や教員など、幅広い学園構成員による監視が求められる。