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【特集】海外大学との連携 Vol.1 大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部 日中連携で学びを社会へ

本学はこのたび、文部科学省が実施する「スーパーグローバル大学創成支援(SGU)」事業の令和2年度中間評価においてA評価を受け「これまでの取組を継続することによって事業目的を達成することが可能」と判断された。
当事業では日本国内の高等教育の国際通用性・国際競争力の向上を目的に、海外大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める日本国内の大学へ文科省が支援を行う。本学は「我が国の国際化を牽引するグローバル化牽引型大学」に採択されている。
本学が取り組む「海外大学との連携」について全3回にわたって特集する。今回は「大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部」を取り上げ、情報理工学部事務室の呉岩(ごがん)さんと情報理工学部の王浩南(おうこうなん)さんに取材を行った。

大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部とは?

中国にある大連理工大と本学が共同で運営を行うのが「大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部」。「国際的に活躍できるグローバルIT人材の育成」を目標として2014年に大連理工大学開発区キャンパスに開設された学部である。

本学情報理工学部は2004年の開設以来「国際社会を舞台に活躍できる人材の育成」を教育目標の1つに掲げながら、教育・研究の国際化を積極的に推進してきた。これまでに中国、ベトナム、タイ、インドなどのアジア地域の大学との交流が進められている。
特に中国の大連理工大学とは2007年から相互訪問を含めた教育・研究のつながりが強かった。
「大学間での海外との交流は欧米の大学ではかなり展開されており、アジアが遅れていると感じていた。そんななか大連理工大学から、ソフトウェアに関する教育・研究を中心とする新学部設立について声をかけてもらった」と呉さんは話す。両大学は2010年9月から2011年5月まで協議を行い、2013年に中国政府教育部より正式に学部設置の認可を得た。

大連理工大学開発区キャンパス

共同学部がもつ意義「情報科学技術は全方位において必要不可欠」

本学部は、大連理工大と本学が共同で運営を行う。双方の大学の教員による授業や演習の共同開講はもちろん、両大学学生の受け入れ・派遣、産学官連携で共同教育・研究を推進する。授業がすべて日本語で行われることも特徴的だ。
「自動車や家電の制御用ソフトウェア開発などのIT分野強化において、アジアは世界でも重要な位置を占めるようになってきている。そのなかで、開発を国内で完結させるのではなく外国と連携をとりながら進めていく動きが加速している。日中連携のこの共同学部はグローバル化が進む現在において重要な役割を果たす」と、呉さんは共同学部がもつ意義を語った。

Zoomでの取材に応じる呉さん

「国際化の動きに遅れたくない」卒業生の思い

王浩南さんは国際情報ソフトウェア学部第1期生として卒業した。現在は本学情報理工学部の教員として勤務する傍ら、本学発ベンチャー株式会社ソニックアークの創業メンバーとしての事業活動も行っている。
中国の厳しい入試制度では「自分自身が埋もれてしまうかもしれないという不安」があった王教授。「何かで周りとの差をつけたい」「国際化の動きに追いつきたい」と考えていたときに、大連理工大と本学との共同学部を知ることとなった。共同学部と出会うまで日本にはまったく興味がなかったという。
共同学部での思い出を聞くと「研究室での活動が印象的だった」と語った。日本の企業との共同研究やゼミ内での交流、合宿などを挙げ「異文化コミュニケーションができ、国境を超えないと体験できないものを多く経験できたのが楽しかった」と当時を振り返った。
同時に、物事の捉え方や価値観が異なる日本人学生と一緒に研究や課外活動に取り組むなかで、チーム内でうまくコミュニケーションが取れないときもあったという。しかし「大変だったが良い経験でもあった」と笑顔を見せた。
修士課程2回生のときに本学発のベンチャー企業を立ち上げた。これが大学で教員として働くきっかけのひとつとなる。また「立命館での学びを活かしてこれから入ってくる学生に指導をしたい。それが自分にとっての恩返しになると思った」と自身の思いを語った。

Zoomでの取材に応じる王さん

コロナ禍での奮闘

昨年は新型コロナウイルスの影響で思うようにカリキュラムが進まなかった。両大学の教員が互いに渡航できない状態にあるため、講義はすべてオンラインで行っている。昨年の状況を踏まえた上で「どうすれば質の高い学びを提供できるか」について現在も協議を進めているという。
「昨年は海外留学生との交流を支援するボランティア団体の支援をいただき、学生同士がオンラインで交流をした。大学の機関との協力・連携も取りながら今やれることをやりたい」と話した。

これからの展望

呉さんはこれからの展望として「理工系の長期留学プログラムの設計」を挙げた。
本学のみならず、一般に理工系の長期留学プログラムは実現が難しいとされている。「今すぐではなくとも、将来的にはやっていきたいと考えている。もっと優秀な技術をアジアから発信していくことが必要だ」と意欲を見せる。
またウィズコロナ、アフターコロナの今後を見据えて、今のカリキュラムも改善していきたいという。
「全ての分野に情報科学の技術は必要不可欠。学んだことを研究内で完結させるのではなく、それをいかに今の社会に還元・フィードバックができるかにかかっている。これができる学生をたくさん輩出したい」と言葉に熱を込めた。
王さんは「教員として留学生の手助けをしたい。また卒業生として、プログラムの発展に貢献していくとともに自分自身のキャリアアップもしていきたい。新たな価値を生み出すビジネスを創り上げていくことが目標」と意気込んだ。
(坂口)

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