立命館大学新演劇研究会・劇団月光斜は2021年度冬公演『さくら』を2021年12月26日から27日の2日間にわたり、Youtubeにてライブ配信を行った。本劇団は2021年の春より映像化した公演をアーカイブ配信する試みを行なってきたが、本作で初めてリアルタイムによる公開を実施し好評を博した。今回はその経緯や見どころについて、本劇団の座長で演出を務めた天ノ川駆さん(文3)、照明と演出補助を務めた710さん(心理2)に話を聞いた。
『さくら』は雑誌記者・郁夫がとある廃病院で元新撰組隊士の幽霊・雪ノ丞と出会い、雪ノ丞の未練である忘れられない人を探すため協力するという内容。花を咲かすことがないと言われる「呪いの桜」を主軸として、過去と現在を超えたラブロマンスが展開される。
本作はライブ配信という、同劇団初めての試みとなる形式での公演に挑戦している。天ノ川さんは「コロナ禍の影響で劇場に観客を集める従来の公演が難しくなりアーカイブ配信を続けてきたが、より生の迫力や体験を提供できる方法はないかと考えライブ配信に踏み切った。約1年を通してより良い作品を目指し一歩ずつ進化を重ねてきたが、配信形式の最終的な段階に達したと考えている」と話した。
本作での演出面における工夫について、天ノ川さんは「初めてカメラを3台使って、俳優の表情がわかるようにクローズアップを多用し、演技の迫力が伝わるように心がけた。また物語を象徴する桜の木のセットを本物らしく見せるため照明にこだわり、舞台に桜を作り出すことができた」と語った。710さんは「液晶画面での視聴は実際の舞台より暗く見えてしまうため、カメラと連携を図りながら照明には一層の工夫を凝らした」と語った。
本公演は通信状況に不安があったものの大きな不具合もなく、ライブ配信は無事に成功。公演を終え、天ノ川さんは「お客さんから多数の好評をいただき、生だからこその感触を提供できたのではないかと実感している」とし、710さんは「リアルタイムでお見せすることができてよかった。時間を割いてくれたお客さんには本当に感謝している」と2人は笑みをこぼした。
最後に次期座長を務めることが決まった710さんは劇団の今後について「しばらくは対面は難しいがお客さんを劇場に迎えられるようになれば、ぜひ足を運んでいただき、これからもより良いお芝居をお届けしたい」と意気込んだ。
なお本公演はYouTubeにてアーカイブ配信を実施しており、視聴することができる。
(冨吉)
<劇団月光斜2021年度冬公演『さくら』 アーカイブ版>