教養教育センターが主催する「未来共創リベラルアーツ・ゼミ」(以下みらいゼミ)は、学生の興味関心によって学習を進める学生提案型ゼミである。学部や回生の異なるメンバーが集まって学び合い、自分たちで立てた目標の達成を目指し活動する。本プログラムは2021年度から始まり、今年で3年目を迎える。クオーターごとに活動期間が区切られ、これまでに累計80以上のゼミが開催されてきた。
本プログラムは、一般財団法人三菱みらい育成財団による助成案件「大学等で行う『21世紀型教養教育プログラム』」に採択されている。それにより、ゼミを立ち上げると、フィールドワークなどで発生する交通費やゲスト講師への謝礼、文献購入代などの活動費の補助を受けることができる。さらに、ゼミメンバー募集の発信やメンターとのマッチング、学内外への活動紹介などのサポートも充実しており、学生の主体的な活動が支援される環境が整えられている。
2023年度第3クオーターで「不登校生徒にとって過ごしやすい環境とは?~快適な居場所づくり~」のゼミを立ち上げた数田萌ノ佳さん(文1)は、10人の人のメンバーと共に活動中である。数田さん自身、高校時代に不登校であったことから、「同じような思いをしている人をサポートすることで当時の辛かった思いを昇華したい」と語る。活動の中で「こんなに小さなコミュニティでもそれぞれのバックグラウンドや価値観によって意見の違いが生じる。実際の現場でも、生徒それぞれにあった支援が必要だと実感した」という。
同様に第3クオーターで「自分って何?~リベラルアーツで人生を再考する~」のゼミを立ち上げたのは丸山幸之助さん(情理3)。週1回「人生」を軸に多様なトピックについて対話を行っているが、このゼミをきっかけに新しい挑戦を始めたメンバーがいたという。丸山さんは「自分の行動によって、誰かの人生に少しでも良い影響を与えられるという感覚が衝撃的だった」と語る。
2021年度にみらいゼミを立ち上げ、現在は大学院生でみらいゼミ事務局専属スタッフである松尾遼太郎さんは、本プログラムはこれまでに延べ600人を超える学生が参加してきたことに触れ、「日常生活の中で気になることや社会問題への興味関心から、誰かと一緒に何かしらのテーマについてじっくり考え、意見を交わしたい学生がこれだけ存在することが可視化されている」と話す。「みらいゼミが学生の一歩踏み出す機会になれば」と期待を寄せた。
(西澤)