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ライスボウル 激闘の詳報・特別寄稿

試合終了後、歓喜するパナソニック陣営(手前)と悔しさにじませる立命大の選手たち

1月3日、第69回プルデンシャル生命杯ライスボウル(1984年からは日本選手権となり33回目)が東京ドームで行われ、パナソニック(社会人・Xボウル勝者)が立命大(学生・甲子園ボウル=全日本大学選手権勝者)を22―19で破り、2008年以来8年ぶり4度目の優勝を飾った。立命大は09年以来、4度目の日本一まであと一歩及ばなかった。

第4Q残り2分を切ったその瞬間、誰もが立命大の勝利を確信していた。立命大がそれまで19―15でリード。しかもパナソニックの攻撃権は第4ダウン、20ヤード以上の前進が必要だ。つまりパナソニックにとって敗色濃厚の状況であった。

この試合で引退を決めている立命大OBのパナソニックQB高田からWR本多へパス。しかし立命の選手が2人、タックルしようとしたが、本多はおとりで2人を引きつけ、WR小山へトス。そして小山は左サイドライン際を駆け抜け、逆転決勝点のTDとなった。

パナソニック陣営はこの日一番の歓喜に包まれ、高田たちは飛び跳ねるように喜んだ。一方、まさかの逆転を許した立命大の選手たちは呆然とその場に立ち尽くした。

第3Q終盤、この日マークされながらもパナソニック守備陣の密集をかいくぐってTDを決めた(立命大RB西村七斗)

社会人王者を驚かせた立命大の選手たち。第3Q途中まで3―15と劣勢ムードであったが選手たちは最後まで諦めなかった。第4QにはQB西山の54ヤードのパスを受けたWR猪熊がTDを決めて一時逆転に成功した。立命大陣営はこの日一番の盛り上がりを見せた。結果敗れてはしまったが社会人王者パナソニック相手に堂々たる戦いを見せた。

 

試合を終え、立命大の米倉輝監督は「選手たちは最後まで諦めず強い相手に向かっていった。本当によくやった」と語った。主将のDL田辺大介は「(パナソニック)は今までで一番強かった」と語った。 (中川剛史)

特別寄稿:ライスボウルを終えて~立命大パンサーズ・特別なシーズンの終わりに~

立命館大学新聞社前主幹・前スポーツ部長

阪田裕介

 

2016年1月3日、立命館大学パンサーズにとって間違いなく特別な一年が終わった。昨季まで4年連続で11月のKG(関学大)戦で涙を呑んで終了していたアメフットシーズンが、新春の東京ドームに至るまで最後まで戦い抜けたのだから。

 

もちろんパンサーズの選手・スタッフはライスボウルまで戦えたことを「当たり前!」と声をそろえるかもしれないが、5年ぶりにお正月までフットボールが楽しめる嬉しさはパンサーズファンにとって何よりだ。

 

今季のパンサーズは大一番でギリギリの攻防を展開した。KG戦(30-27)、甲子園ボウルの対早大戦(28-27)そしてライスボウルの対パナソニック戦(19-22)と全て3点差以内という決着。3試合とも状況一つ違えば結果は真逆でも全くおかしくない展開だった。

 

直近のライスボウルでは、「ほぼ勝っただろう」とパンサーズファンの誰もが思う状況にまで持っていくことはできた(第4Q残り2分で19-15と立命大リードの展開において、パナソニックは反則も絡まり攻撃権は第4ダウンで20ヤード以上の前進が必要という絶体絶命・敗色濃厚の状況。しかしそこからのパナソニックによるスペシャル・ビッグプレーからのTDでは、パナソニックの勝負強さと入念なプレー準備が結実していた)。

 

最終スコアは3点差。残り10秒、FGで同点に追いつける好機を得るなど勝つか負けるか本当に「ギリギリの攻防」を繰り広げた今季のパンサーズらしい一戦だった(一方、このシーンでは6日になって、日本協会側からパナソニック守備陣がルールよりも1人多い12人でプレーしていたことを見落とした誤審を謝罪。本来であれば、立命大は5ヤード前進が認められもう一度FGを狙うことも可能だった。しかし立命大米倉監督は「審判に感謝」とコメント(=京都新聞)。

 

ギリギリの戦いゆえに、シーズンを通して試合後のミーティングなどでコーチ陣からは往々にして選手たちに対しては厳しい言葉が多かったが、大一番で大勝とはならずとも白熱の「ギリギリの攻防」を戦い切った選手たちに惜しみない拍手を送りたい。

 

来季はパンサーズの真価が問われる一年になるだろう。来季は今季よりも間違いなく厳しい戦いが待っている。「ギリギリの攻防」という戦い方からさらに成長を遂げられるか(もちろん普段から選手・スタッフたちは「確実に勝ちに行く戦い方」を考えていることだろうが)。また、今季大ブレークを果たした「学生ナンバーワン・フットボーラー」RB西村七斗はまだ2回生。その他にも来季以降のチームを支える選手たちがパンサーズにはたくさん存在する。来季日本一に向けて、パンサーズの旅支度はもう始まっている。(立命館大学新聞社前主幹・前スポーツ部長)

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