新型コロナウイルスは京都の飲食店業界を様変わりさせ、その影響は今でも根強い。
祇園でラウンジ「葉月」(京都市東山区)を経営する西村夏子さんはコロナ禍で店をオープンした。夜になると多くの人でにぎわっていた歓楽街は、当時、静寂に包まれたという。直接打撃を受けてはいないものの、「周りの同業他社は経営維持ができず閉じてしまう店がいくつもあった」と振り返る。
飲食店は休業要請や時短営業、酒類の提供の規制によって、売上が10分の1になる店も。飲食店を支援する政策がつくられたものの、その支援を受けるまでは自身で立て替えておく必要があった。そのため、経営を維持することが難しかった飲食店は多い。
さらに、円山公園で鍋料理を提供する「いふじ」(京都市東山区)の社長、名井聖介さんは「客足だけでなく、人手不足に悩む店は多い」と言及する。「いふじ」では水際対策の緩和とともにインバウンドに注目しており、海外からの観光客を多く呼び込んでいる。徐々に以前の忙しさを取り戻しつつあるが、コロナ禍で店を離れたスタッフは戻らず、不均衡な状態が生じているという。そうした暗中模索の中でも、名井さんは今後について「祇園の飲食店業界の挑戦は始まったばかり」と 先を見据えた。