大学という教育機関には日本各地から学生が集まる。それを運営する大学当局は、災害発生時においてその場所・時期を問わず包括的、かつ迅速な対応が求められることはいうまでもない。
1月1日に能登半島を震源に発生した能登半島地震は最大震度7を記録し、石川県を中心に甚大な被害をもたらした。それを受け、本学では教学部による学生の被災状況に関する調査が実施された。
一方、この調査は本学に在籍する全ての学生に向けて行われたものではない。教学部は帰省先住所が震度5強以上の地域に登録されている学生に向け、安否確認メールを送信した。
災害時、とりわけそれが正月に起きたという非常時において、被災した可能性が高い学生を優先的に調査することは合理的であり、必要な取り組みであると言える。
しかし、調査の範囲を限定してしまうと旅行先など登録のされていない滞在場所で被災した学生の安全を確認できているとはいえない。今回のような安否確認の方法では、危険な場所にいる学生の安全を包括的に確認できていない可能性がある。これは大学という教育機関が行う対応として不十分であるといわざるを得ない。
地震発生に際し国際関係学部では、教学部による調査だけでなく独自で学部生の被災状況を網羅的に確認する措置が取られた。しかし、本来このような取り組みは大学が行うべきものではないだろうか。事実、学び支援サイトには、大規模災害発生時における本学の対応として、全学生に向けた安否確認メールの送信が明記されている。
当然、災害がいつ起きるのか、そしてその時学生一人一人がどこに滞在しているのかは予測できるものではない。正月のような帰省シーズンであればなおさらだ。大学はその点を留意した上で、今後どんな状況でも学生の安全を把握することができる対策指針を一刻も早く策定してもらいたい。