立命館SDGs推進本部RIMIX事務局が設立したオンラインコミュニティ「Beyond COVID-19」内で学生が立ち上げたプロジェクトとして、6月1日からアイデア料理コンテスト「Beyond Kitchen CONTEST」が開始された。
このコンテストは地域の食材への理解とフードロスの削減を目的として、立命館大・立命館アジア太平洋大に所属する大学生・大学院生からオリジナルレシピを募集するものだ。参加者エントリー期間は6月1日〜13日で、先着60名までとなっている。
エントリーの際は「地域部門」と「フードロス部門」の2つから選ぶ。地域部門では、信楽焼や朝宮茶で有名な滋賀県甲賀市、舟屋の町並みや海産物で有名な京都府伊根町と協力し、旬の食材や特産品などが地域の農家や食品業者から提供される。フードロス部門では、給食の余剰分などが「フードバンクびわ湖」から提供される。フードバンクびわ湖は、品質には問題ないのにもかかわらず市場で流通できなくなった食品を、個人や企業から寄付を受け、生活困窮者などに無償で提供する活動を行っている任意団体である。
食材は6月15日〜17日頃に参加者の元へ届けられる予定。食材の種類はランダムで、送付された食材をメインに「夏を乗り切る! 涼しい初夏のワンプレート」というテーマに沿った料理を考案することになる。出来上がった料理のレシピは、写真、説明文などとともに6月23日までに提出するという日程だ。
その後、6月24日〜30日にWeb投票が行われ、各部門上位10名のファイナリストが決定する。ファイナリストにはそれぞれの部門ごとに特典が設けられており「甲賀市や伊根町の魅力発見ツアー」、「食の背景を知るツアー」に参加することができる。7月5日にはオンラインでコンテストが開催され、ファイナリストがプレゼンテーションを行う予定だ。当日は審査員として本学食マネジメント学部の小沢道紀教授と本田智巳助教が参加し、5項目10点満点の合計50点で評価する。高得点を得た受賞者には信楽焼プレートや特産の米・野菜などの景品が用意されている。
食にフォーカスした企画 次々とメンバー集まる
コンテストは食や地域に興味をもつ学生数名の提案から始まった。Beyond Kitchen運営委員会は、食マネジメント学部の学生や地域で活動する学生団体メンバーで構成されている。西野日菜さん(理工4)はこれまで学生団体「TaBiwa+R」に所属し、滋賀県の魅力の発信など地域活動を行なってきた。他にも伊根町で活動する学生団体「Orang Earth」の元代表である髙島千聖さん(文4)や食に興味のある学生などが企画の立案に携わった。
今年の3月頃からは新型コロナウイルスの影響で、活動先の地域に行けない状況になり、活動が制限されてしまっている。そのような中、地域活動と食のプロジェクトを融合した企画を始めることになった。「コロナ禍で様々な企画が立ち上がっているが、食にフォーカスした学生企画は見つからず意外だった。食に興味を持つ人は多く、メジャーな課題でもあるので、多くの学生が関わることができるのではないかと考えた」と西野さんは語る。
活動を始めると次々とメンバーが集まった。同団体代表をつとめる三浦凜さん(食マネ3)はこれまで、甲賀市の魅力を発信する「取りあえずi(い)甲賀プロジェクト」に参加して地域活動を行っており、西野さんが声をかけたことからコンテストの運営に携わっている。他にも食マネジメント学部の新入生や地域で活動する団体のメンバーが多く集まり、メンバーそれぞれがもつ繋がりから伊根町やフードバンクから食材を提供してもらえることになったという。西野さんは「今までお世話になった農家さんから、コロナの影響で発注が少なくなってしまっていると聞いた。家に居ても地域に貢献できる仕組みにできたら」とコンテストに込めた思いを語った。
コンテストの料理テーマは「ワンプレート」となっているが、その理由について三浦さんは「1つのプレートの中にいろいろな料理が詰まっていれば面白いと思った。もちろん1つのお皿に1つの料理でもよくて、独創性の幅が出やすいのでは」と説明した。
また、審査では味を考慮せず「食べたいかどうか」などを含めた5項目で判断する。これは料理の実食ができないためで、オフラインの料理コンテストとは異なるこのコンテストの特徴だ。
三浦さんは「審査員に味わってもらうことはできないので、誰も作ったことがないような面白い料理やレシピを見た人が想像して楽しめるようなものを期待している」と参加者にメッセージを送った。西野さんは「家での料理が地域への還元・フードロスの削減につながっていることを感じて欲しい。どこかへ行ったり、地域活動を始めたりするのは難しいが、食材の生産元を見て買うなどちょっとした行動につながったら」と参加者へ期待を込めた。(鈴木)
食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。近年、大量の食品ロスが問題となっている。
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