京都三大祭りの一つに数えられる「時代祭」で使われる衣装の虫干しが6日、平安神宮(京都市左京区)で行われ、本学学生がボランティアとして参加した。収蔵庫から次々と衣装が運び出され、参加した学生25人が汗を流しながら衣装の虫干しなどに取り組んだ。
時代祭は毎年10月22日に行われる平安神宮の大祭で、維新勤王隊を先頭に約2千人の行列が京都御所から平安神宮までを練り歩くもの。時代祭の衣装の虫干しは、維新勤王隊として時代祭に奉仕する京都市中京区朱雀地区の市民団体「平安講社第八社」が毎年行っている。
本学のサービスラーニングセンター(SLC)が時代祭衣装の虫干しでボランティアを募集するのは、2019年、2022年に続く3回目。この活動はボランティア体験の機会の創出と、地域活動への関心醸成を目的に実施されている。SLCの國定直樹さんはこの活動に対し、正課科目「シチズンシップ・スタディーズ(GA)」の時代祭応援プロジェクトへの接続も期待しているという。
6日朝、1回生から4回生まで25人におよぶ学生が、平安神宮にある時代祭衣装の収蔵庫に集まり虫干しを開始した。今回学生が虫干ししたのは羽織や袴など、維新勤王隊で用いられる約120人分の衣装と道具。曇り空のもと、学生ボランティアは本学の卒業生らの指導を受けながら、衣装などを風にさらした。
虫干しされた衣装は2時間ほど風を通した後、再び収蔵庫に納められる。虫干しの間、参加者らは平安神宮で権禰宜(ごんねぎ)を務める水原和俊さんの案内で本殿を参拝し、平安神宮の神苑を巡った。水原さんは、桜や花菖蒲、カキツバタ、紅葉など、季節ごとに楽しみがあると紹介し、参加者は普段は見られない風景に思い思いにカメラを向けていた。
その後参加者らは作業に戻り、虫干しした衣装を畳み収蔵庫へと運び込んだ。平安講社第八社で常務理事を務める安孫子正孝さんは活動を終えて「時代祭の華やかな側面だけでなく、大変な裏側も知っていただけたと思う」と話し「ぜひ若い方に時代祭を受け継いでいっていただきたい」と期待を語った。
虫干しの活動終了後、参加者らは平安神宮の社務所に移動し、権禰宜の芦原弓人さんから平安神宮や時代祭についての説明を受けた。芦原さんは、年に一度、同じ日を迎えるという祭りのありがたさを忘れている人が多いと指摘し「『有難い』というのは『ないかもしれない』ということ。祭りを守っていくという京都市民の意識が無ければ、祭りは無くなってしまう」と学生に訴えた。
芦原さんの話の後には、SLCの國定直樹さんから「シチズンシップ・スタディーズ(GA)」の案内が、平安講社第八社で理事を務める太田興さんから時代祭応援プロジェクトの案内が行われたほか、虫干しで指導役として活動した同科目の過年度受講生との対話の場が設けられた。太田さんは、様々な現場に出向き、物事に立ち会うことで授業以上の学びが得られることもあるとし「日々の時間の中で『今、何が大切か』を選び取る嗅覚を鍛えるのも勉強だ」と学生に自らの考えを語った。
今回、学生ボランティアとして活動した小森穂ノ香さん(経営1)は「ボランティア活動を通して地域貢献をしてみたいと考え参加した。今回の活動を楽しむことができ、地域貢献に興味が湧いたので他のボランティア活動にも参加してみたい」と今後の活動に意欲を示した。
(小林)