「Everybody Has Talent」―今年度の立命館大学学園祭のテーマにはすべての参加者が自分らしく学園祭を楽しんでほしいという願いが込められている。しかし、その開催が危ぶまれている。春学期の卒業式や入学式などのイベントは中止され、例年学園祭に参加している多くの課外自主活動団体(サークルなど)も活動再開の目処は立っていない。
こうした状況の中、本紙は様々な視点から学園祭の在り方について特集する。
第1回は、立命館大学学園祭の概要、例年のスケジュールについて解説する。
学園祭は例年10〜12月頃に3キャンパス計3日間の日程で行われ、今年度も同様の開催が予定されている。日程も4月25日に発表されており、大阪いばらきキャンパスで11月8日、衣笠キャンパスで11月15日、びわこ・くさつキャンパスで11月22日に開催予定だ。
《立命館大学学園祭2020日程決まる 11月に3キャンパスで開催》
昨年度はのべ300を超える団体が参加し、学内外から約3万4000人が来場するなど、盛り上がりを見せた。
学園祭は学友会の全学行事の1つである。学生団体の大規模なステージ企画や展示・発表のほか、有名タレントによるトークショー、学園祭のラストを飾る打ち上げ花火など、祭典は関西でも有数の規模を誇る。
《立命館大学学園祭2019開幕 地域に開かれたOIC祭典》
《立命館大学学園祭2019 秋空を彩る衣笠祭典》
《立命館大学学園祭2019 フィナーレを飾るBKC祭典》
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年度の開催については難しい判断が迫られている。入学式や卒業式、もう一つの全学行事であり新入生を歓迎するイベントであるウェルカムフェスティバルなどのイベントは中止され、キャンパスにさえ満足に立ち入れない状況が続いている。
《新歓ウェルカムフェスティバル中止 新入生の課外自主活動団体選びに影響》
祭典までのプロセス
本学の学園祭を統括する学園祭実行委員会は例年3月~4月頃に発足し『学園祭運動方針』の中央委員会での承認をもって正式に学園祭運動が始動する。同方針は学園祭の大枠で、これに基づいて「ステージ企画」や「団体企画」といった個別の企画が実施される。
今年度の方針は4月25日にオンライン上で行われた中央委員会で承認された。
「今年度の学園祭は例年と同様の規模で開催するのか」
緊急事態宣言発令中の中央委員会では既に開催を疑問視する声も上がった。
「現段階では例年通りの規模で行うことを予定している。今後の情勢によっては、規模の縮小や中止も検討する」
4月の段階ではあくまで通常開催を目指していた。無論、この時はまだ誰もが8月の新規感染者数が1日1000人を超える状況は想像していなかった。
4月~6月は人材の確保が急務となる。実行委員会の補佐メンバーや、学園祭の実務を担う中央事務局特別事業部員(以下、事業部員)をこの間に募る。
例年、この人材確保が課題となっており、昨年度も多くの学友会各パートからの対外協力者が運営協力を行った。
今年度は新歓をオンラインで行わざるを得ない状況となり、各団体が部員集めに苦慮している。また、多くの人手を要する学園祭は準備段階でも「密」は避けられない。
7月~9月には、個別の企画を審議する期間となる。方針を基に「模擬店企画」や「ステージ企画」などの枠組みごとに企画を立案し、審議する。企画が承認されれば、出演・出展団体を募り、ヒアリングなどを経て、実際に出演・出展する団体が決まっていく。この間に学園祭の概要が固まることとなる。
10月以降の祭典直前期間は広報に力を入れる。各キャンパスに、学園祭ロゴ・キャラクターのリッツブラザーズが現れたり、クリアファイルを配布したりする。また、JRや阪急などの各駅や、他大学・周辺の施設などにポスターが掲示されるなど、学外に向けての広報も充実させる。
学園祭は誰のためのものか
学園祭は誰のためのものか。来場者が安全で、楽しめる祭典になることは運営する実行委員会の努力があってこそのものである。しかし、実行委員会が掲げた通り、学園祭は学生の成長の場である。各団体が日頃の成果を発揮する場として重要な意義を持つ。
開催・中止いずれにしても、学生ファーストでの決断と丁寧な説明が求められる。