■1時間1本は「不便」
「結局、今まで通りか」――。亀岡市在住で、南丹市の高校に通学する片山煌介さんは、落胆を見せた。
嵯峨野線はコロナ禍の2022年3月、ダイヤが見直された。亀岡駅以北の亀岡―園部駅間では、おおむね午前11〜午後3時台において、一部列車の運転が取りやめとなり、1時間当たり2本運行されていた列車が、1時間当たり1本に減便された。JR西は嵯峨野線減便について、「嵯峨野線に限らず、列車の運転本数や編成両数は、お客様のご利用状況を1本1本把握し、見直しをしている」と説明している。
嵯峨野線の減便は、通勤・通学などの面で沿線地域に大きな影響を及ぼした。
片山さんの高校では、考査期間や学期末などで昼に授業が終わる場合、生徒らが学校で1時間後の電車を待つこともあるという。
また、同校では、嵯峨野線の本数が少ないことから、乗り遅れない時間に学校を出られるよう調整している。同校の教員は「電車で通学する生徒は多くいる。部活にも支障があり、生徒にとって利便性は悪い」と本音を話す。
■増便望む声多く
こうした影響から、沿線地域の住民や自治体からは増便を要望する声が挙がっている。
京都府の西脇隆俊知事は昨年10月16日、JR西の京滋支社(京都市南区)を訪ね、財剛啓(ざいたけひろ)支社長にコロナ禍で削減された便数の復活などを直接要望した。財支社長は西脇知事の要望に対し、「コロナ禍前の利用状況に戻っておらず、すべての復便は難しい」と回答したという。
実際、嵯峨野線の利用者はコロナ禍前の状況までには回復していない。京都―園部駅間の1日あたり平均通過人員は、19年度は4万3678人であったが、コロナ禍の20年度には3万404人に落ち込んだ。22年度には3万7360人に回復したが、それでも19年度より約6千人少ない。
沿線地域では今、人口減少が課題だ。亀岡駅や並河駅などが位置する亀岡市は、01年の9万5890人をピークに毎年減少し続けており、24年4月1日時点で8万6975人。コロナ禍から回復した利用者数は、観光客によるものが大きいと分析する声もあり、安定した利用が今後見込まれるのか不安視されている。
JR西は、本紙の取材に対し「(増便などの)ご要望をいただいていることは認識している」としつつ、「今後も列車のご利用状況を把握し、一定の配慮、改善を行いながら、お客様のニーズに応じたダイヤにしていく」と説明するに留めている。
こうした現状から、新たな取り組みを進める自治体もある。沿線の亀岡市では8月30日、JR西の株式を1億円分取得することを盛り込んだ補正予算案を市議会に提出した。
JR西に対する株主としての発言力を高めて「物言う株主」を目指すとともに、利用者や市民など幅広い関係者に公共交通政策への関心の喚起を狙う。
ある亀岡市民は「嵯峨野線の本数が増えれば、沿線地域に引っ越してくれる人も増え、嵯峨野線の利用者も増えるはずだ」と期待を寄せるが、JR西の説明を踏まえると、利用者が増えなければ増便は見込めないのが現状だ。いつか増便はかなうのか――。沿線地域では不満と不安の声が絶えない。
(小林)
京都駅の園部側に出入口を設けないといくら両数や本数増やしてもあまり意味ない
京都駅の園部側??意味分からんぞ!
バイアスかかり過ぎ