10月1日から4日にかけて、五穀豊穣(ほうじょう)を感謝するずいき神輿(みこし)を有するずいき祭と、御鳳輦(ごほうれん)を有する、かつての勅祭の伝統を継ぐ北野祭が北野天満宮御旅所を飾った。両祭の神輿が御旅所で並ぶのは今年で最後となる。

御旅所の境内に飾られたずいき神輿(左)と御鳳輦(右)=10月2日、京都市中京区御旅所の境内に飾られたずいき神輿(左)と御鳳輦(右)=10月2日、京都市中京区

現在、北野祭とずいき祭は同時に御旅所の境内で開催されている。昨年度にずいき祭から北野祭へ名称が変更された後も境内ではずいき神輿が展示され、ずいき祭は北野祭と共存していた。来年度以降もずいき祭で行っていた内容に変化はなく、期間も変わらず10月1日から4日に開催される。今回の変更点は北野祭の御鳳輦がずいき神輿と同時に並ばなくなるという点だ。

「祭りが別々の期間に開催されるようになっても、地域と密着し協力していきたい」。両祭の関係者はこう語る。

ずいき祭は西之京神人(にしのきょうじにん)の伝統を汲む。西之京瑞饋(ずいき)神輿保存会と地域住民が主体となって奉納祭礼を手がけ、ずいきをはじめとする地元の秋の収穫物の五穀豊穣を感謝し、奉納する。

ずいき神輿の下部には来年度も開催されるという注意書きがあった=10月2日、京都市中京区ずいき神輿の下部には来年度も開催されるという注意書きがあった=10月2日、京都市中京区

北野祭が9月に前倒しされると地元野菜と収穫期が合わず、神輿を飾るずいきなどの調達が間に合わない。「地元の五穀豊穣に感謝を捧げる」という祭礼本来の本筋・歴史的意義を果たすため、保存会は10月開催を堅持する判断に至った。

今後、上記の関係以外でどのように地域住民と北野天満宮が協力していくのかについては検討中だ。

北野天満宮の関係者は「ずいき祭としては今後、北野祭の祭礼でありながら、より地元のお祭りとしての側面が強くなる。北野祭は来年に半萬燈祭(はんまんとうさい)を控え、次の25年も学問の神様の側面だけではない、地域住人の信仰する存在としての『天神さん』をどう維持していくのかという懸念がある」と語った。

西之京瑞饋神輿保存会の佐伯農生さんは「北野祭の日程が9月に前倒しされ、御旅所での同時奉安がなくなったとしても、先祖から今日の私たちに繋いできた天神様に対する思いは変わらない。収穫に感謝する意義を守りつつ、北野天満宮と長い目で協議を重ね、新たな伝統のあり方を築いていきたい」と語った。

≪コラム≫
平安時代から地域住人の菅原道真公信仰を元に続いてきたずいき祭の起源は平安時代に遡る。祭名の由来は「ずいき」という古語で、心の底からありがたく思うことの意をもつ。地域で収穫された芋茎芋(ずいきいも)と韻を踏んで芋茎で神輿を飾るようになった。歴史的経緯もあり、現在ずいき祭は北野祭の渡御とともに開催されている。

(国島)