近年さまざまなハラスメントを耳にするようになった。それに伴い、教育機関もより広範で専門的なハラスメント対策・防止に取り組むことが求められている。本学のハラスメント防止に対する姿勢は十分なのだろうか。
大学生は授業やサークルなどで、ハラスメントに関与する可能性がある。キャンパスハラスメントとは、大学などにおける、学修・研究または労働の環境を悪化させるハラスメントを広く指すものである。
キャンパスハラスメントは発生した際の一次被害だけでなく、その後においても修学上の困難が続く二次被害を含んでいる。大学には、学生が安心できる修学環境をつくる安全配慮義務がある。ハラスメント防止委員会や学部の内部だけで解決を目指すのではなく、大学全体で解決や防止に取り組むことが大切だ。
本学では、ホームページでハラスメント防止委員会の活動が公開されており、セクシュアルハラスメントだけでなくアカデミックハラスメントやパワーハラスメントにも対応している。しかし、事例や活動、相談窓口が十分に周知されていないといった問題点も存在する。加えて、相談員を担当する教員は各学部につき約1人であり、2020年に文部科学省が発表した「大学教育改革の実態把握及び分析等に関する調査研究」で推奨されている対策や予防と比べても不十分である。また、ホームページなどの多言語化の対応も進んでいない。
現時点で本学は、十分な対策を講じることができているとは言えないのではないか。他大学では、専任教員や外部の相談員を配置した学内窓口を設置し、大学全体で連携して防止に取り組むケースが増えている。
本学のハラスメント対策・防止策の強化として、専門の相談員をより多く配置するなど、相談活動、啓発・広報活動を通じ、ハラスメントを生まない環境づくりを推進することが急務である。