インターネットやSNS、テレビ、新聞など至るところで情報が溢れる現在。誰でも情報を送受信できるこの環境下では、自身と他者に配慮した発信の姿勢と、数々の情報のなかから正確性・信頼性の高いものを選び、適切に利用する情報リテラシーが重要となる。
さらに、近年次々と登場しているChatGPTなどの生成系AIにより、私たちを取り巻く情報のあり方は大きく変化している。この革命的ともいえる科学技術は本学での「Transable」(本紙1面)をはじめとした新たな教育機会の提供や業務効率化などのメリットがある一方で、情報の正確性やプライバシーの保護など多くの面でデメリットもはらんでいる。
では、このようにメリットとデメリットが一対になっているAIに対して、私たちはどう向き合えば良いのか。まず、AIから得たコンテンツを過信せず、自らで吟味する必要がある。例えば、生成系AIが作り出すコンテンツには誤った情報やデータを含んだものが少なからず存在するうえに、学生の場合はAIの回答をそのまま引用したレポート課題等が著作権侵害により剽窃・盗作とみなされる可能性もある。このようなリスクを回避するためには、AIの生み出すコンテンツやそのなかに含まれる情報の正当性や妥当性を検証することが重要になる。くわえて、AIに入力する情報にも注意しなければならない。気軽に入力した自身の情報が知らぬ間に他者から悪用される可能性があるため、電話番号や住所などの個人情報は入力しないといったプライバシーへの配慮が不可欠だ。
このように、情報をめぐる環境は急速に変化しながら、私たちの生活に新たな可能性と脅威をもたらし続けるだろう。AIのもたらす可能性を最大限引き出すためには、デメリットを抑制しメリットを生かす必要がある。AIの特徴を正しく理解して、適切に活用するリテラシー意識の向上が、今後より一層重要になるのではないだろうか。