全議題の討議が終わったのち、各パートから総括が述べられた。
学友会の総括
学友会は山岸常任委員長が「2年連続開催となるのに際して、これまでさまざまな議論を行ってきた。意見の集約の最中、学生の声として聞こえてきたのは、今の身近な問題を改善してほしいというものが多数だった。その中で感じたのは、大学がどれほど本気で改善に向けて動いているのか、学生には伝わっていないこと。現在の大学の縦割の環境や、形式が取り組みを阻害する要因になってはならない。伝統を守らねばならない点もあると思うが、変化していかないとならない点についても考えていってほしい。今の時代はどこで学んだかではなく、何をどのように学んだかが重要。本学では多くの学生が多方面で活躍している。そういう大学になってきているからこそ、学友会は、どこまで大学が本気で取り組んでいるのかを問い続けていきたい。仲谷総長の『世界から選ばれる学園にする』という理念をまず浸透させ、それに向けて教職員・学生が一丸となって取り組めるような学園づくりを行ってほしい」と述べた。
院生協議会連合会の総括
院生協議会連合会からは後山会長が「この間、我々が提起してきた問題はほとんどが改善に向かってきている。ただその中ですぐには解決できないような課題や、他の課題と足並みをそろえて解決できないものはあるが、確実に改善方向には向かってきている」とした。
教職員組合の総括
教職員組合からは石原執行委員長が発言。「改めて全学協議会の意義を再確認することができた。全構成員自治はピアサポートなどの独特な施策にも繋がっている。また、学生が何を思い、何を求めているかを知る機会を設けるという点でも重要。そのためにアンケートで2000件以上の意見を集めた学友会の姿勢は評価したい。院生協議会についても、院という意見が集約しづらい環境において、さまざまな要望をまとめてくるところを評価する。それらを踏まえて今回の全学協議会はある程度議論の形になってきたと考える。お互いに情報を出し合いながら議論するプロセスは重要であるという点を考えると、この場は重要な機会であると再認識できた」とした。その上で今後の課題として「学費政策は本来は教学・学生生活支援と一体的に議論が展開されないと、実感としての納得感に繋がっていかないもの。その上で各パートが学費提起のプロセスに具体的に絡んでいける場として、各種懇談会や全学協議会を整備してほしい。また、本来この場で議論されるべきであった、定員の厳格化、働き方改革、協働政策の推進に伴う学費改定などについては今後どのように展開していくか注目していく。加えて、学費政策に止まらず、学生生活の充実に関わる具体的な施策も中長期的な政策とともに提起されるということも理事会の説明として求められる。R2030等の中長期計画の方針・到達点、検討の論点が提起されることが必要となるので、早期から論点を整理しながら議論を進めていく視点が大事だと思う。学費政策が、教学・学生生活の議論を踏まえた上で検討できるように、公開全学協議会や代表者会議、各種懇談会の日程を検討してほしい」と語った。
常任理事会の総括
討議のまとめとして伊坂副総長は「各パートから貴重な意見を聞くことができた。学友会の方から見える化や実感などのキーワードが挙げられ、それらを達成するためには現状の縦割りが障壁になっているとの見解があった。R2020では『Beyond Borders』を標榜し、いかに壁を乗り越えるかを考えてきた。R2030は『挑戦をもっと自由に』を掲げている。そんな想いの中で、やはり可視化を進める際に、成果などの素材は各面であるが、伝えることができていないことは問題。お互いが活動について理解し、シェアしていくような仕掛け作りをしていきたい。その上で、大学組織が縦割りになっているなど、学生目線でのフィードバックをもらいたい。身近な問題を、本人がいるうちに解消できるよう、積極的に意見を組み上げながら、学生実態に即して実感を持てるようにしていきたい。そうやって実感を伴ったフィードバックが次世代に繋がっていくし、寄付額も増加し、学園にとってもプラスに働く。こういったことを念頭に学園一体となって議論をしていきたいと思う。院生協議会からは前進していると評価をもらったが、この前進を止めることなく、教学研究を進めていきたいと思う。教職員組合からはさまざまな視点から論点を整理してもらい、今日に臨むことができた。課題については我々も認識しているので、今後の会議などで、2019年度確認文書に向けて継続して議論をしていきたい。また、R2030の具体化に向けた議論についても定期的に懇談会、勉強会を行いながら2020年度も引き続き協議していきたい。ぜひ各パートで協力をほしい」と述べた。
閉会の挨拶では仲谷総長が誠実な議論経過に対し感謝を述べ、「R2030のスローガン『挑戦をもっと自由に』が『Beyond Borders』と違う点は、目の前のボーダーを超えるだけじゃなく、自分の中にある見えない、気づいていないボーダーに気づき、それを排除し、超えていくということ。これまでよりもさらに進んだ立命館になると思っている。これは我々だけでは気づけない場合もある。その場合はみなさんに指摘してもらい意見交換をしていきたい。組織の体制についても、意見をもらい、必要があれば変えていきたい。具体的な取り組みについてもアイデアを出しながら議論を進めていくし、改善の結果の見える化も全員が共有できるようにしていきたい。これまでの経緯があり、2年連続で開催された今回の全学協議会だが、意見交換ができる機会と考えればデメリットだけではなかったと思う。2021年度についても、より良い学園にしていく場として位置づけ、それまでの各種懇談会を通じて意見交換をしていきたい」と語った。また学生に対して「全構成員自治ということを考えると、学生一人ひとりが大学、学園に関心を持って、今後どのように動いていってほしいのかに注目してほしい。そういった意識づけも一緒に取り組んでいきたい」と要請した。全体の見解としては「大まかな方向性の共有はできたと認識している。これからどのように具体化していくかについては、各パートと協議しながら決めていきたい」と語り、2021年度全学協議会の締めの言葉とした。