本学びわこ・くさつキャンパス(BKC)で昨年11月16日、生成AI(人工知能)の活用法を考えるワークショップが開催された。本学学生や立命館守山高の高校生計18人が参加し、生成AIを活用した新たな教育の在り方について考えた。
イベントは「生成AIアイデアソン 〜生成AIと教科書を活用した新しい学びを考えよう〜」と題して開催。教職課程の履修生など、教育に関心のある学生らが参加した。本学生命科学部の山中司教授の研究グループが、教科書会社大手「東京書籍」(東京都北区)の協力を得て実現した。
生成AIと教科書を活用した新しい学び方のアイデアを生み出すことが狙い。ディスカッションやこれまでの経験から、東京書籍が開発する学習アプリ「NewE AI」の改善点を考えることも目的とした。
はじめには、「これまでの人生で記憶に残っている学び」をチームで50個以上書き出すワークがあった。突飛なアイデアや理想の現実などを追い求めるのではなく、参加者が今持っている経験やアイデア、能力を用いて、目的を達成するためにできることを考えるようにするのが狙い。
参加者は、小学生の頃の習いごとや、高校生の頃の総合的な探究の時間、地域の祭りやアルバイト、それぞれの経験や体験を通してアイデアを付箋に書き出していった。
ワーク後には、東京書籍のオンラインプラットフォーム「NewE」や、AIが授業のように学習内容を提示する学習アプリ「NewE×AI」の活用事例について紹介があった。参加者は実際にデバイスを用いて中学2年生の英語学習を体験。「AIに聞いたことは解決できるが、そこから広がりがあるような仕組みにしてほしい」という意見もあった。
昼食を挟んで、再度ワークがあった。最初のワークで張り出した「記憶に残っている学び」を用いながら、生成AIと教科書を活用した、英語教育の新しい具体的なアイデアを出すもの。参加者は、実際の場面を想定しながら、「自分ならどのタイミングで活用したいか」「どこを生成AIに助けて欲しいか」などを考えていた。
また出揃ったアイデアを基に参加者がワークシートを作成し、アイデアの目的や利用するターゲット、必要なリソースなどを全体の前でプレゼンした。
一連のワークの終了後、参加者は「NewE AI」の活用について振り返り、「問題の多さや個人の能力に合わせてくれることが良い」と評価した一方、「文章がワンパターンだ」「個人の学習スピードで差がつく」と改善点を挙げた。
また「間違えた問題を復習できる機能」や「AIを含めたグループ活動機能」などを今後の工夫点とした。
イベント後、あいさつに立った山中教授は、「『何かを削減できる』『何かをしなくても良い』といった発想だけでなく、『AIを活用してあんなことやこんなこともできる』と、より良い方向へ発想を行ってほしい」と学生に期待を述べた。
(小林)