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「阪神・淡路大震災」から30年 神戸市が取り組む「忘れない・繋(つな)ぐ」

1995年1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島北部を震源地とする地震が発生した。国内で初めて「震度7」の揺れを記録。死者・行方不明者は6400人を超える「阪神・淡路大震災」を引き起こした。震災から30年という節目の今年、神戸市では多くの人や団体が、震災のあった1月17日を忘れず、つないでいくための活動を行った。

忘れない、そして伝える取り組み

「阪神・淡路大震災」から30年を迎える1月17日に、HAT神戸(神戸市中央区)で「ひょうご安全の日のつどい」が開かれた。子供から大人までが参加し、次来る災害のために備え、防災の知識を身につけた。

ひょうご安全の日のつどいは今年、「忘れない」「伝える」「活(い)かす」「備える」に、新たに「繋(つな)ぐ」をテーマに加え、実施された。

来場者で賑わう会場=1月17日、神戸市中央区

「人と防災未来センター」(神戸市)の慰霊のモニュメント前で、追悼式が行われた。追悼の灯(あか)りの献灯は、県立舞子高等学校の生徒が担当した。そして県議会の浜田知昭議長の言葉で開会した。

午後0時ごろ、なぎさ小学校の児童によるカリオンの鐘の鳴鐘で参列者は黙とうを行った。遺族代表のことばでは、武田眞理さんが「同じ悲しみをもった人達に、心の平安が訪れることを願うとともに、後世の人に命の大切さを伝えていきたいと思っています」と話した。

県民のことばでは、富永帆華さんが「30年前の地震から学んだことを活(い)かして、地震を正しく恐れながら人と人との絆をつくり、一日一日を大切に生きていこうと思います」と話した。

閉会後は、献花が行われ、参列者は犠牲者に哀悼の意を伝えた。

追悼の灯りを献灯をする県立舞子高等学校の生徒=1月17日、神戸市中央区
黙祷を行う来場者=1月17日、神戸市中央区
献花をする人々=1月17日、神戸市中央区

午前9時30分から始まった「1.17ひょうごメモリアルウォーク2025」は、阪神・淡路大震災から復興した街並みを巡り、防災意識を新たにするという目的で実施された。コースは、神戸市灘区の王子公園から中央区のHAT神戸・なぎさ公園まで約4km。多くの参加者が防災意識を身につけるため参加した。

なぎさ公園では数々の団体によるステージ発表や防災意識を高めるための展示などが行われた。発表のトップバッター・兵庫県警音楽隊は、震災の年にヒットした「TOMORROW」や震災の追悼と復興のシンボル曲「しあわせ運べるように」、能登半島にエールの気持ちを込めて、兵庫と石川のご当地ソングである「そして、神戸」や「能登半島」を演奏した。

指揮を務めた音楽隊の松浦晴信学長は「震災時、神戸で警察官をしていたため、頭に当時の光景が浮かび、思い出しながら指揮をしていた」と話した。

兵庫県立警察音楽隊の演奏=1月17日、神戸市中央区

県立舞子高等学校環境防災科の生徒は、震災から1年経った能登半島地震の犠牲者に向けて募金活動を行った。募金活動のリーダーである田口和務さんは「現地ではまだまだ復興が追いついてない状況なので、募金活動を通じて風化させない取り組みをしている」と熱く語った。

募金活動をする兵庫県立舞子高等学校環境防災科の生徒=1月17日、神戸市中央区

午後1時頃には炊き出しが行われ、陸上自衛隊姫路駐屯地の中部方面特科連隊がカレーライスを提供した。長蛇の列となり、会場はカレーライスを食べる来場者の笑顔であふれた。

炊き出しカレーを食べる来場者=1月17日、神戸市中央区

同時刻、防災訓練も行われ、県立舞子高等学校、神戸市立渚中学校の生徒が参加した。消火から救助まで多様な訓練内容が実施され、防災の意識を高めた。防災訓練に参加した林結月さんらは「今日学んだことを活かせるように普段から意識した生活を行いたい」と意気込んだ。

心肺蘇生法訓練の様子=1月17日、神戸市中央区
要支援者等避難誘導訓練の様子=1月17日、神戸市中央区

人々に寄り添う希望の灯り分灯

1月15日から3日間、東遊園地(神戸市中央区)で「阪神淡路大震災1.17のつどい」が行われた。冬の寒い夜、灯されたロウソクが人々の心を温めた。

来場者により灯される紙灯籠=1月17日、神戸市中央区

阪神淡路大震災1.17のつどいは震災で亡くなった人々を追悼するとともに、震災で培われた「きずな・支えあう心」「やさしさ・思いやり」の大切さを次世代へ語り継ぐため行われた。15日からテント設営などの準備を開始し、16日には一回目の希望の灯り分灯、紙灯籠が点灯され、17日の午後5時ごろに竹灯籠・紙灯籠に再び灯が灯された。

会場に並べられた竹灯籠本体は「お墓」、ロウソクは「命の灯し火」、竹の中に張っている水は防火の意味を含めて「防災」、並べられている竹灯籠は「1本では倒れやすいが支え合うことで立つことができる」という意味が込められている。

竹灯籠=1月17日、神戸市中央区

会場に訪れた土屋敦子さんは「昔、神戸に住んでいた時に震災を経験し、今は長野県に住んでいるが、震災から30年という今年けじめをつけたいと思って来た。これからもボランティアなどで風化させない取り組みをする決意が固まった」と話した。

阪神淡路大震災1.17のつどい代表の藤本真一さんは今年の文字である「よりそう 1.17」には「阪神・淡路大震災だけではなく日本各地で起きている震災の犠牲者にも寄り添う心を持ち、他人事ではないという意識を忘れないでほしい」という意味が込められていると話した。

ロウソクの灯が集まり、浮かび上がる「よりそう 1.17」の文字=1月17日、神戸市中央区

東遊園地前に設置されているモニュメント「1.17希望の灯」には多くの花束が並び、震災の犠牲者への追悼が行われた。

モニュメント「1.17希望の灯」の前に供えられた花束=1月17日、神戸市中央区

また同日、日比谷公園(東京都千代田区)で行われた東京会場でも、灯が灯された。

神戸の街並み・人々の心を照らす優しい光

1月24日から10日間、東遊園地(神戸市中央区)、旧外国人居留地(神戸市中央区)、メリケンパーク(神戸市中央区)で「第30回神戸ルミナリエ」が開催された。震災と同年、30年の節目を迎える今年も、多くの来場者が集まり、人々の心を照らした。

震災後からの復興を遂げ、神戸の街に輝く「神戸ルミナリエ」は多くの人にとって希望の象徴となった行事。

震災と同年1995年12月に、阪神・淡路大震災の犠牲者への鎮魂と震災の記憶を後世に語り継ぐ目的から、初めて開催され、今回で30回目の開催。節目の年である今年の作品テーマは「30年の光、永遠に輝く希望」だ。

神戸ルミナリエはメイン会場の東遊園地、旧外国人居留地、メリケンパークと分散し展示され、神戸の街並みを楽しみながら荘厳な光の芸術作品を楽しむことが出来る。

東遊園地会場、神戸市役所展望ロビーからの様子=1月25日神戸市中央区

東遊園地会場では、芝生広場北側に全長78m、高さ最大22mの光の壁掛け「スパッリエーラ」が設置され、見晴らし広場には高さ約3mのロソーネキューブが登場。南側園地では高さ約7.7m、幅21mの作品が設置され、同会場では地元の食品関連企業などによる「食の逸品」の提供と、音楽ステージなどの協賛事業が実施された。

東遊園地会場の様子=1月25日、神戸市中央区
飲食スペースの様子=1月25日、神戸市中央区

旧居留地会場では、三方を囲うように高さ約7m、幅約7.4mから13.4mの光の看板作品や会場の進路の目印となる小型の作品「ロソーネ」(直径約3m)や「ガゼボ」(高さ約8.4m、幅3.5m)が設置された。

旧居留地会場の様子=1月25日、神戸市中央区
NTT新神戸ビル前に設置された作品(後方)=1月25日、神戸市中央区
NTT新神戸ビル前に設置された作品(前方)=1月25日、神戸市中央区

メリケンパーク会場では、東南の緑地通路に延長79mの光の回廊や、震災メモリアルパークには高さ約8m、幅3.4mのロソーネが設置された。メリケンパーク会場は、時間帯毎に上限人数を設け、ゆっくりと鑑賞できるとともに継続開催への協力をお願いするため、有料エリアとなっている。

有料エリア正面の様子=1月25日、神戸市中央区
有料エリアの横からの様子=1月25日、神戸市中央区

またメイン会場以外にも北野町広場では、「ロソーネ」が今回3段のツリー型「ロソーネツリー(高さ約4m)」となって北野町広場に登場した。

umieセンターストリート内では例年東遊園地に設置している光の聖堂「カッサアルモニカ」が、小さな大きさ(高さ約4m)となり神戸ハーバーランドumie センターストリートに設置された。中に入って写真撮影も可能。

ミニサイズとなって設置された「カッサアルモニカ」=1月25日、神戸市中央区

ルミナリエを訪れた坪倉(つぼくら)麻由奈さんらは「目に飛び込んでくる光の量が今まで見てきたイルミネーションで一番多くて宝石みたい!お城みたい!と心が躍りました」と話した。

中に入って撮影をする坪倉さんら=1月25日、神戸市中央区

会場付近では、地元の大学生を中心に、街頭募金形式で来場者に「1人100円募金」への協力を呼び掛けた。神戸市民の皆様と一体となった「神戸ルミナリエ」開催資金確保のための募金活動などの活性化を目的としている。

募金の様子=1月25日、神戸市中央区

 

(今井)

 

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