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「その相談、あの本なら、こう言うね。F/哲学の劇場」がオンラインで開催

3月7日、「SERIESリベラルアーツ『その相談、あの本なら、こう言うね。F/哲学の劇場』」がオンラインで開催され、本学大学院先端総合学術研究科講師の山本貴光氏、文筆家で編集者の吉川浩満氏、本学文学部の瀧本和成教授が登壇。事前に参加者から寄せられた5つの悩みに、本を通して回答した。

収録現場では登壇者同士の間隔をあけながらトークセッションが行われた

山本氏は、自己肯定感が低いという悩みについて、他人と比べて相対的に自分の価値を見積もることが自己肯定感の低下につながるのではないかと指摘した。そしてリディア・デイヴィスの『ほとんど記憶のない女』を紹介。同じ悩みに対して瀧本教授は、自分を批判的に見ることは悪いことではないとした上で、楽天的態度を勧め、武者小路実篤の『人生論』を挙げた。

学生も手に取りやすい文庫本を紹介しながら語った瀧本教授

続いて、20代男性からの弱さをさらけ出すことが苦手だという悩みに対して、瀧本教授は文学の源泉は訴えることだとし、日記を書くことを勧めた。そして石川啄木の『ローマ字日記』を挙げ、自らが訴える手立てについて述べた。また吉川氏は、みんなが集まる場を安心安全にするにはどうすれば良いか、という質問に対して、人間は人との自由な共有の場が必要だと述べ、レイ・オルデンバーグの『サードプレイス』を紹介した。

熱心に参加者からの悩みに本を通じて答える吉川氏

その後、リアルタイムで寄せられた質問に対して回答が続き、最後は卒業生に向けた登壇者のメッセージで締め括られた。本企画の模様は現在、本学公式YouTube『Ritsumeikan Channel』にて公開されている。

企画終了後、山本氏は「20歳前後の頃は分からないことも多い。それでも、本を通じてものの見方が学べる。どんな本があるかを知るだけでも、人類がこれまで数千年の間、経験したり、考えたりしてきたことに触れられる」と大学生にとっての本の価値について述べた。そして、吉川氏は「本は知の地図を広げてくれる。自身の専門分野以外の視点を持つことは自分がその分野を選ぶ根拠になる」と言葉に熱を込めた。

悩みへの書籍を通じた回答だけでなく、トークセッションの進行も務めた山本氏

本企画について、本学教養教育センター事務局の牧野容子さんは「リベラルアーツの視点で、学生に寄り添い、学生目線に立った企画がしたかった」と熱心に語る。また「私自身さまざまな課題にぶつかったときに本から救われた経験があった。学生に、大学卒業後も、読書を通じて学び続ける楽しさや、本によって自分の悩みや不安を少しでも解消する方法を示したかった」と本企画への想いを語った。

本企画に登壇した、吉川氏、山本氏、瀧本教授(右から順に)

本学の教養教育について

教養知が取り組むべき社会問題と格闘するためのオンライントークセッションの場としてスタートした「SERIESリベラルアーツ」の第4回目である本企画。同事務局の川﨑那恵さんは「社会で実際に起こっている問題に向き合うとき、専門知を持った人が対話をしていくことで解決策が見出せるのだと思う。その前提として、自分の学んでいる専門領域が知の広がりの中でどのような立ち位置にあるのかを認識し、その可能性とともに限界をも知っていることがとても大事」と対話する力としてのリベラルアーツの重要性について述べた。また「本学は総合大学であり、16学部がカバーしている学問分野は実に様々。だからこそ、思いもよらなかった知や人に出会える場にしていきたい」と本学の教養教育の魅力について語った。

本学の教養科目の多くは、複数の学部や異なる回生の学生たちが混ざり合って履修できる。牧野さんは、2020年度はほとんどの授業がオンラインでの開講となり、実際に対話する機会が少なくなってしまったとしながらも「オンラインも駆使して学部や回生が違う学生同士で出会い、意見交換ができる貴重な授業として楽しんでほしい」と語った。(川村)

 

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