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20歳未満の飲酒問題、根深く 「健康リスクの知識付けて」

■若者の飲酒に健康リスク

「高校生の頃は酒に身近でない分、学んだ内容を覚えていないのではないか」。

そう話すのは、青少年アルコール関連問題認定アドバイザーの資格を持つ、酒ジャーナリストの葉石かおりさん。報道を見るたびに、飲酒に関わる教育が行き届いていないと実感するといい「20歳未満は飲酒のリスクを勉強しなおす必要がある」と訴える。

厚生労働省は2月19日、適切な飲酒量・飲酒行動の判断に役立てるため「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(飲酒ガイドライン)を作成した。飲酒に伴うリスクに関する知識の普及の推進を図る形だ。葉石さんは「国がガイドラインを作成して適正飲酒を呼び掛けるほど、アルコールによる健康被害は増えている。アルコールの社会的損失は大きい」と見解を語る。

取材に応じた葉石さん=本人提供(鈴木愛子撮影)

飲酒の健康リスクについて、医学雑誌『ランセット』は18年、酒は少量でも健康にリスクがあるとする研究結果を発表した。葉石さんによると、酒を少し飲む人は全く飲まない人よりも疾患のリスクが下がるとする「Jカーブ効果」も心疾患など一部の疾患のみにしか当てはまらないという。

また、飲酒ガイドラインによると、1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上で生活習慣病のリスクが高まるという。純アルコール摂取量20グラムはビールのロング缶1本(500ミリリットル)に相当し、大腸がんの発症リスクを高める。葉石さんは、生活習慣病や動脈硬化などのリスクも上がると言い、「酒は百薬の長」との考え方は過去のことで、今は飲み方を誤ればアルコールは体にとって毒物にもなりうるという考え方が主流だと話す。

20歳未満は特に、20歳以上に比べ、アルコールの代謝が遅く、臓器に対するダメージも大きいという。葉石さんは「少量でも健康リスクがあると頭の片隅で考えていれば、行動に歯止めがかかるのではないか」と期待し、アルコールに関する健康リスクや、正しい飲み方についての知識を付けるよう呼び掛ける。

アルコールに対する体質について「分からないのが一番怖い」と話す葉石さん。自分の体質を理解するため、アルコールパッチテストやアルコール感受性遺伝子(DNA)検査などを受けるよう勧めている。葉石さんは、一部お金がかかるものもあるが、飲み方を考慮して自分の命を守るため「飲んだことがない人は絶対やっておくと良い」と訴えた。

著書を手にする葉石さん=本人提供(鈴木愛子撮影)

「20歳未満のうちから練習しなければ」と話す学生の声を、葉石さんは強く否定する。「20歳になればいつでもお酒の飲み方を練習できる。20歳未満のうちから練習しなくても良い。周りに勧められても絶対に飲まず、20歳まで楽しみを取っておいてほしい」。

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