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「地震は防げませんが、震災は防ぐことができます」

身振りを交えて熱心に解説をする高橋教授

「地震の発生を予想することができれば、どれだけ良いだろう」

誰もが一度は抱く思いを研究しているのが本学文学部の高橋学教授である。学部生の頃からおよそ40年間、自然地理学の視点から地震の発生時期とその被害を調査してきた。

「この学問は阪神淡路大震災後に注目され始めましたが、それ以前から私は研究を進めてきました。分析の技量はどこにも負けません」と胸を張る。

高橋教授の調査の基本はフィールドワークと空中写真判読だ。ボーリングなどの地質調査で過去に地震が発生した時期を特定し、その周期性から次の地震を予測する。空中写真からは過去の地形を分析し、災害に弱い土地を特定する。

「地震の予兆を見逃さずに大地震に備えることが大切です。南海トラフ地震などの巨大地震は明日、発生するかもしれません。心構え次第で地震の被害を減らすことができます」

「地震による被害をいかに防ぐのか」ということも高橋教授の研究分野である。災害の経験や地形調査から地震に弱い土地を特定する。例えば川跡のような軟弱地盤や低地は地震が発生すると、真っ先に被害を受ける。そういった「土地の履歴」を踏まえた上で土地開発や防災計画を作る必要があるという。

「『地震』と『震災』は異なる概念です。地震の発生は人間の力では防ぐことができません。しかし地震により人の生命や財産を失うこと、つまり震災を未然に防ぐことは可能です。」

高橋教授は現在64歳。来年度で定年となるが、研究への情熱は全く衰えていない。

「私が研究しているのは過去ですが、対象は現在や未来です。いかに災害を減らし人命を防ぐのか。それが私の研究の意義です」    (鶴)

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