立命館大学落語研究会(立命落研)に所属する立命亭鯛團(だいまる)こと芝田純平さん(文4)が、2月21日に長良川国際会議場(岐阜市)で行われた全日本学生落語選手権「策伝大賞」決勝にて第3位にあたる岐阜市長賞を獲得した。
コロナ禍においても精力的に活動を続ける芝田さんに、策伝大賞の感想や落研に対する想いを伺った。
〇決勝当日の意気込みと心境をお聞かせください。
一昨年の策伝大賞で優勝された立命亭写楽斎(りつめいていしゃらくさい)さん(53期立命落研会長)に続くことができればいいな、という気持ちで挑みました。例年会場で行われていた予選が今年は動画審査だったということもあり、お客さんの前で落語をするのは1年ぶりでした。決勝までに用意したネタを試せる場もなく、いつもより孤独な戦いだったと思います。ですが、決勝進出が決まった際には、部員から祝福の言葉をたくさんもらいました。そのおかげで、なんとか緊張せずに、いつも通り落語をすることができました。
〇岐阜市長賞(3位)という結果を受けての感想をお聞かせください。
順位に関係なく、お客さんの前でできた、ということが何よりも嬉しくて、楽しかったです。
ただ、僕の出番が終わった後の、待機している他の演者の方たちの拍手がすごく大きくて。舞台袖が「すごかったな、優勝こいつやな」みたいな空気になったんです。「真に受けたらあかん」と思いつつも、少しだけ期待しました。だから3位からの発表で、最初に自分の名前が呼ばれたときは、一瞬だけがっかりしてしまいました(笑)。
〇新型コロナウイルスの影響により、この1年間で多くの寄席が中止になったと思います。どのように芸を磨いていったのでしょうか。
芸を磨く、というよりも、感覚を忘れない、という方が難しかったですね。芸を磨いても、直接お客さんにお見せする機会がないので。
寄席が中止になってしまった代わりに、家で1人で動画を撮って、それをYouTubeにアップロードする、ということを何度かしました。オンライン寄席にも出させていただいたりしたので、その分、落語をする機会は他の部員よりも多かったと思いますが「芸を磨く」ということはなかなか厳しかった1年だったと思います。
〇お客さんの前で行う落語とオンライン寄席では、何か違いはありますか。
全然違います。今私はインタビューを受けていますが、それを壁に向かってするようなものです。壁に質問して、相手の反応を予測してメモする、なんてできないですよね(笑)。
今年の2月初旬に立命落研でオンライン寄席を開催したのですが、僕が舞台に上がっても、スタッフは誰も拍手してくれなくて。そこで調子が狂って、噛み倒してしまいました。やっぱりお客さんがいてくれた方が、話していても乗っていけるような気がします。
他にも、毎回落語の前に「枕」というフリートークのようなものをするのですが、お客さんに合わせた枕はその日にしかできませんし、やはりオンラインで行う落語には厳しいところが多かったです。
〇今年度も、コロナ禍の状況がしばらく続くと思われます。鯛團さんご自身の展望や、立命落研のこれからについてお聞かせください。
僕自身は、大学卒業後も落語を続ける予定はありません。最近は若い噺家の方もたくさんいらっしゃいますが「ちょっと面白い一般人」くらいでちょうどいいと思っています。
立命落研については、コロナ禍の影響で後輩たちに、公演の設営の仕方や例年の活動の流れといった、落語研究会として本来すべきことを伝えきれていないところが、少し心配です。
ですが、オンラインで寄席を開催するなど、コロナ禍でも活動を続けています。立命落研は永久に不滅です。
(波多野・松尾)