日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」とスタジオジブリ作品を紹介する「金曜ロードショーとジブリ展」の京都展が12日、京都市京セラ美術館(京都市左京区)で開幕した。約40年の時を金曜ロードショーと共に歩んできた、スタジオジブリの歴史をたどりながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介する構成だ。
同展は、2023年6月から同年9月にかけて東京で開催され、同年10月から今年1月まで富山で開催された。6月までの京都展以降、2025年にかけて広島や秋田、三重、長崎への巡回が企画されている。
金曜ロードショーは、スタジオジブリが設立された1985年に開始した番組。86年に「風の谷のナウシカ」を放映して以来、200回以上にわたり、スタジオジブリ作品の放映が行われている。スタジオジブリ執行委員の野中晋輔さんは、金曜ロードショーについて「非常に特別な存在。繰り返しスタジオジブリ作品を放送し続けたことで、(作品公開の間隔の長い)スタジオジブリがしっかり世間に認知され続けてきた」と語る。
同展では、歴史を記した年表と共に、時代ごとに流行していたCDやおもちゃなども展示。作品の公開年や初放送された年がどのような時代であったかを、各時代の記憶と記録を通じて体感できる。スタジオジブリ作品の魅力だけでなく、作品が持つ時代性に迫ることができる「新しい角度の展覧会」だ。
公開中にアメリカ同時多発テロ事件による自粛ムードを迎えた「千と千尋の神隠し」や、「フライデーおじさん」として親しまれた金曜ロードショーのオープニングなど、さまざまな作品の制作秘話や当時のプロデューサーらの証言が紹介されている。「風の谷のナウシカ」をはじめとする、ほぼ全作品の絵コンテの一部の展示もある。
中盤には、「もののけ姫」や「魔女の宅急便」、「千と千尋の神隠し」などの映画の世界に飛び込めるような、フォトスポットが登場。映画のポスターと同じポーズを取り、記念写真を撮る来場者の姿も見られた。
このほか、「風の谷のナウシカ」に登場する「腐海」を表現した空間「風の谷のナウシカ 王蟲(おうむ)の世界」が展開される。薄暗い展示室の中に足を進めると、王蟲などさまざまな生物に周りを囲まれ、スタジオジブリ作品の世界観に飛び込むことができる。
京都市京セラ美術館では11日、同展の開幕セレモニーが行われ、松井孝治京都市長らが登壇した。
冒頭、同展を主催する京都市を代表し、松井市長があいさつ。「内外のニュースを振り返りながら、名作の数々を拝見した。それぞれの思い出と紐付けられているスタジオジブリの作品を、多くの方に楽しんでいただきたい」と話した。
日本テレビ放送網執行委員の澤桂一さんは、金曜ロードショーについて、日本テレビ系列以外の多くの映画の枠が廃止される中で、何度も打ち切りを検討したが残していると説明。「残せた大きな理由の一つはジブリ作品があったからだ」とし、感謝を述べた。
会期は6月29日まで。チケットは日時指定制で、大人1800円。詳細は公式サイトを参照。問い合わせは京都市京セラ美術館(075・771・4334)。
(小林、稲垣)