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琵琶湖の深呼吸に異変 全循環の停止で酸素濃度が低下

琵琶湖が今、危機にひんしている。本学総合科学技術研究機構琵琶湖・環境イノベーション研究センターの熊谷道夫客員教授は「全循環」の異変を訴えている。全循環とは、水温の差異によって生じる密度の違いにより、水面付近の冷たく酸素を多く含んだ水が沈み込み、温かく酸素の少ない湖底の水と入れ替わる現象。毎年冬から春にかけて起こっており、湖底の水温を下げ酸素を届けることから琵琶湖の生態系を保つ上で重要な役割を担っている。

しかし2019年春、琵琶湖に異変が生じた。全循環が停止し、湖底に十分な酸素が届けられなかったのだ。熊谷教授らが2019年3月から2020年12月にかけて行った調査によると、通常冬期には100%程度になる湖底の溶存酸素濃度は、2019年には60〜70%、2020年は70〜80%程度までしか回復しなかった。

今年2月、滋賀県は全循環が3年ぶりに確認されたと発表した。一方で2020年12月から2021年3月にかけて熊谷教授らが調査した最新のデータでは、80%前後の回復にとどまっている。熊谷教授は「80%の回復ではまだ十分ではない」と話す。

また、湖底の年平均水温は上昇が続く。2019年から2020年にかけては大幅に上昇し、9度を超えた。このような環境変化により、ビワオオウズムシの大量死が確認されるなど、貴重な固有種へのさらなる影響も懸念されている。

こうした状況のなか、湖内環境の測定や情報発信、全循環を促進するシステムの開発を行うため、熊谷教授は資金提供を呼びかけた。その結果、本学が提携する研究者向けプラットフォーム、ブルーバックスアウトリーチを通じて、400万円を超える支援が集まった。

熊谷教授は「気温上昇や水温上昇は今後30年程度続くと思う。その間に応急処置として何ができるのかを考えて、いろいろな挑戦をしていきたい」と話した。(鈴木)

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