「ルーヴル美術館展 愛を描く」の京都展が、9月24日まで京都市京セラ美術館(京都市左京区)にて開催されている。同展では、フランスのルーヴル美術館が所蔵するコレクションから「愛」を表現する絵画73点が来日しており、来場者は西洋各国の名画に見入っていた。
「ルーヴル美術館展 愛を描く」は2018年頃から、ルーヴル美術館と日本側主催者との間で準備が行われてきた。今年の3月から6月には国立新美術館(東京都港区)で同展の東京展が開催され、およそ45万人が来場。京都展は東京展の終了後、6月27日から行われており、8月10日には来場者10万人を達成した。
今回展示されているのは、人間が持つ根源的な感情である「愛」をテーマにした、16世紀から19世紀半ばまでの作品73点。「ルーヴル美術館展 愛を描く」では4つの章に分けられ展示されている。
第2章で展示されているウスターシュ・ル・シュウールの《十字架降下》は、キリストがはりつけにされ処刑された直後、遺骸が十字架から降ろされる場面を描いたもの。今回の展覧会では、キリストがはりつけにされ命を落としたのは人間に対する神の愛の表れであると解説されており、悲劇的な犠牲の場面を表現する同作品も愛を描いた作品として紹介されていた。
展示されている絵画には、《十字架降下》などの宗教画のほか、神話画や風俗画などさまざまなジャンルがある。今回の展覧会では、相手の全てを自分のものにしたいという欲望の愛、孝心を中心とする親子愛、現実世界に生きる人間たちの恋愛、牧歌的な恋愛、悲劇の愛など、さまざまな愛の形を多彩な展示作品からうかがい知ることができる。
「ルーヴル美術館展 愛を描く」では、同展のメインビジュアルとなった《アモルの標的》と《アモルとプシュケ》の2作品をはじめ、26年ぶりの来日となったジャン=オノレ・フラゴナールの《かんぬき》などが注目されているという。ルーヴル美術館展の担当者は、同展の魅力について「ルーヴルの膨大なコレクションの中から『愛』というテーマを通して作品を厳選しており、誰もが知る傑作から隠れた名画まで、新たな発見や出会いのある展覧会といえる」と話している。
今回の展覧会では「すみっコぐらし」や「鎌倉紅谷」「マリアージュ フレール」とコラボした商品がミュージアムショップにて多数展開されており、なかには連日売り切れとなるものもある。このようなグッズ販売に関し、担当者は「さまざまなコラボが実現したことに加え、キービジュアルやロゴデザインを踏襲してピンクやハートを基調としたグッズの存在が大好評だ」という。また展示作品に登場するアモル(キューピッド)の存在も、グッズの売り上げが好調な理由の一つに挙げた。
8月6日からは、同展にあわせて京都市京セラ美術館の光の広間にて「愛の羽ARフォト」の企画が行われている。この企画では、会場に設置されている2次元コードを読み取り人にカメラを向けることで愛の羽のARが現れ、愛の羽と共に写真を撮ることができる。
ルーヴル美術館展の担当者は「東京展では、美術館に初めて来た方や普段あまり来場されない方、そして学生さんなど若い方も多くいらっしゃった」と話し、学生に向けて「美術に詳しいかどうかを抜きに、本物に触れることを通して何か新たな体験をし、気づきを得てもらえたらうれしい」と期待を語った。
「ルーヴル美術館展 愛を描く」は京都市京セラ美術館の本館北回廊1階および新館東山キューブにて開催されている。8月1日からは早朝開館が行われており、開館時間は会期最終日の9月24日まで午前9時から午後6時となっている(入場は閉場の60分前まで)。休館日は毎週月曜日。観覧料は大学生1500円。
(小林、吉江)