「人にも地球にも優しい『捨てる』がない社会を目指す」。その思いで廃棄野菜のコンポスト(堆肥化)に取り組んでいる学生がいる。学生団体Uni-Com(ユニコーン)代表の隅田雪乃さん(生命4)だ。
隅田さんは1回生の夏休みに、ボランティア活動を行うためカンボジアへ渡った。「いきいきと生活している人と出会い元気をもらった」と話す一方、貧困地域では満足にご飯が食べられない経済的に余裕のない人々に接したという。帰国後、アルバイト先の飲食店で大量の食品が廃棄されていることに違和感を感じた。カンボジアでの体験をした自分とアルバイトをしている自分に矛盾を感じ、活動を始めるきっかけになったという。
フードロスの問題を解決するために何ができるのか。隅田さんは、食品廃棄はある程度出てしまうものだと捉え、それをどうすべきかを考えた。そこで出会ったのがコンポストだ。一度捨てられてしまったものが、作物を育てるためのものに生まれ変わり循環することの可能性を感じた。
はじめに目をつけたのが本学の食堂。コロナ禍で学生の利用が減るなか、需要を予測して仕入れても消費できない食品が出てしまう。大学には地域連携や微生物、土壌の知見を持った教員がいることもあり、それを引き取って堆肥化できないかと考えた。
今年7月、専門家を衣笠キャンパスに招き、野菜くずを入れて発酵させるための「床材」作りを団体のメンバーらで行った。床材とは堆肥のもとになるもので、もみ殻、米ぬか、落ち葉、壁土を一定の割合で混ぜ合わせ、水分量を適切に調整することで発酵が進む。
2〜3週間で床材が完成し、8月には最初の野菜くずを投入した。その後、定期的に野菜くずや食品、水を加えて混ぜ合わせる作業を行っている。落ち葉に付着している微生物にとって、野菜や食品がいわば「栄養」となり、かき混ぜることによって酸素が供給される。最初の堆肥は10〜11月頃に完成するといい、完成した堆肥は学内の農園や京北地域の森林公園などに提供する予定。
隅田さんは「家庭でも生ごみのコンポストはできるが、一部の人にしか普及していない」と指摘する。「誰もが関われる形でコンポストを身近に感じられるようにしたい」と思いを語った。(鈴木)
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