総長選、候補者全員が本紙の質問状に回答 憲章改正巡り見解割れる
8日に選挙人会が行われる2026年度総長選挙を巡り、総長候補者の高山茂氏、樋爪誠氏、松本朗氏の3氏が本紙の公開質問状に回答した。昨年度に行われた「立命館憲章」の改正については、手続きや議論の過程を巡り、評価が分かれた。「軍事研究を行わない」とする方針については、3氏とも維持するべきと表明した。
質問状は本学学生オフィスを通じて3氏に送り、10月28日を回答期限とした。質問状では、これまでの学園運営や今後の方向性、学費政策、立命館憲章の改正、軍事研究、多様性・公平性・包摂性(DEI)、学園の自治など、計7項目について見解を尋ねた。
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■学費政策 財政運営巡り見解
本学は、かつての「相対的低学費」政策から転換し、近年は「物価連動」での授業料改定方式が続いている。
学費政策や教育環境の拡充について、高山氏は、学費負担と教育の質向上がトレードオフの関係に陥る可能性を指摘した。これまでの財政運営については、学納金への依存度を低減した一方、「授業料改定がこの間の収支改善に大きく寄与したことも事実」との認識を示した。その上で、産学官連携などによる財源の多様化を進め、学費に依存する財務構造からの転換を図る考えを示した。
樋爪氏は、学費を巡る議論に学生が参加していることを評価する一方、「学費を上げるという法人側の最終判断には慎重であり続けるべきだ」と回答した。また、キャンパス間の施設や環境の格差に言及し、古い施設の見直しに積極的に取り組むべきだとした。
松本氏は、物価上昇に応じた学費引き上げが実施される一方、教育活動収支が赤字となっていることについて、その原因を明らかにする必要性を指摘した。また、学園が保有する金融資産の運用収益について、教育研究活動の赤字補填に活用することに問題はないとの考えを示した。
立命館憲章「改正」 評価割れる
昨年度に行われた「立命館憲章」の改正について、高山氏は、学生や教職員、卒業生らとの懇談会などを通じて意見を聞き、議論を重ねたことを評価。「多様な声を尊重しながら議論を深めたプロセスは、まさに立命館らしい営み」とした。
一方、樋爪氏は、改正の手続きと内容の双方に問題点が指摘されたとした上で、「早い段階から学内の意見を広く聞くことが必要であった」との考えを示した。また、従来の憲章にあった「戦争の痛苦」という文言が削除対象となったことへの懸念にも言及した。
松本氏は、改正について「突然に提起され、その手続きのプロセスに奇異なものを感じました」と回答。歴史的経験や教訓の継承を軽視する方向性には賛同できないとした。
教学理念「平和と民主主義」については、3氏ともその重要性に言及した。
軍事研究を行わない方針 3氏とも「維持」表明
本学がこれまで堅持してきた軍事研究を行わない方針については、3氏とも今後も維持するべきだと明言した。2028年度より設置される見通しである「宇宙地球フロンティア研究科(仮称)」を巡って教職員組合が懸念を表明するなど、軍事研究との関わりについてはこの間さまざまな議論が行われている。
高山氏は、軍民両用(デュアルユース)技術について、一律に排除することには慎重な立場を示しつつ、研究目的や資金提供元などを厳格に評価する透明性の高い審査体制が必要だとした。
樋爪氏は技術革新と安全の関係の難しさに言及し、大学が産業界や行政とともに平和で健全な研究を促進するべきだと述べた。
松本氏は学園の理念に基づく研究者の倫理性を重視。先端研究を含め、教育研究は非軍事の方向性で考えるべきだとの見解を示した。
DEIや学問の自由 3氏見解
多様性・公平性・包摂性(DEI)について、高山氏は、多様性の面では一定の進展が見られる一方、公平性や包摂性については、さらに取り組みを深める必要があるとした。
樋爪氏は、多様性への認識の浸透に向けた取り組みを評価しつつ、成果にはなお課題があるとの見解を示した。松本氏は、公平性の根幹に民主主義があるとの考えを示し、学園における公平性の具体化を重視した。
学園自治や学問の自由について、高山氏は、学生や教職員などによる「全構成員自治」を立命館独自の文化として評価し、継承する必要性を強調した。
樋爪氏は、議論するべき課題の増加による負担を指摘し、課題の取捨選択と全学協議会などの協議システムの維持を重視した。
松本氏は、大学の自治や学問の自由が岐路に立たされているとの認識を示し、時間と労力をかけて議論と合意形成を進めることの重要性を強調した。
(星野)
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