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全学協議会2022 第2議題「R2030チャレンジ・デザインの今後の取り組みに向けて」

2022年度全学協議会の第2議題では、R2030チャレンジ・デザインに関する議論が行われた。

学友会からの提起

学友会からは「英語教育」「教学のDX化」「次世代研究大学における探究的な学び」の3点が議論のテーマとして提起された。これらの議論テーマは、大学との懇談を通じて模索しながら見出してきたものである。

英語教育においては、学友会全学学生アンケート2022に寄せられた回答をもとに、学生の英語教育に関する事例について学友会から説明した。それを踏まえて常任委員長の石川寛太さん(映像4)は「英語能力が身につくだけではなく、学生が自信を得られるほどの成長を実感できるような英語教育が重要だと考える」とした。加えて、R2030におけるグローバル・シチズンシップや次世代研究大学を掲げる立命館大学において、今の学生の英語に関する実態とR2030の実現にギャップがあるのではないかとも述べた。

教学のDX化については、コロナ禍において、学びを止めないことを目的として、緊急避難的に多くのICTツールを導入したことにより、オンラインでの授業環境が構築されたと認識しているとを述べた。また、対面授業で挙げられる課題をDXを活用して改善するという政策が「RS学園通信特別号 2022年度全学協議会に向けて」に記載されているDX政策の一環にあると認識しているとした。
さらに、対面授業とメディア授業のメリット・デメリットについて説明し、現状においては両形態の混在により双方のメリットに片方のデメリットが悪影響を及してしまっているのではないかと提言した。例として、メディア授業と対面授業を連続で取ることで、対面授業を受けに大学へ行く必要性が発生して受講場所が制限されることから、結果的にメディア授業の「場所を自由に選んで受講できる」という良さを潰している現状を 挙げながら説明した。
これらを踏まえて石川さんは「対面授業の避難的役割を継続したままであるため、再構築する必要がある」とした上で、教学のDX化に対しての展望を大学側へ問うた。

次世代研究大学について、石川さんは、本学が今後、次世代研究大学を掲げて社会問題の解決や最先端技術に関わる、断定的な答えが無く日々変化するような課題を扱うことが大学の学びとすることについての認識を述べた。さらに、学びの成長実感として、学生の学びの場を正課・課外というような二項対立の状態から脱却することですべての学生が学生生活の中で、個性を生 かして多様な人々と協働して学ぶことを通じて成長を実感できることが求められているとした。
そして「探究的な学び」という言葉を引用した上で、起業や課外自主活動など立命館大学にはさまざま な探究的な学びの場が存在しており、それらを大学がどのような支援を行っていくのか。それに伴う議論を行うことを求めた。

大学側の見解

学友会からの見解を受け、松原洋子副総長が見解を述べた。
英語教育については「変化の激しい、先行きの見えない困難な時代を生きていく皆さんには自ら世界に挑戦し、多様な価値観を持った人々と協働していくための基盤となる力が求められる」と述べ、その基本となるツールの一つが英語であるとした。また、学生の学びの実感を高めていく手立ての一つとして探究型の英語プログラムが有効になるのではないか、と述べた。このほか、探究型の英語学習で得た力を専門教育との橋渡しにするべく、3回生以降の専門と結びついた英語を必修とすることが検討に値するとも述べた。「探究型の英語プログラムの導入を各学部が試みる際、全学的な観点で支援していくことについて教学部を中心に本学として具体的な検討を進める」とした。

見解を述べる松原副総長

教学のDX化について、コロナ禍によるオンラインでの授業や会議をはじめ、デジタルネットワークの活用が急速に拡大・浸透していることを述べ、これらの新しい生活様式や意識変化の多くはコロナ禍以降もそのまま継続すると予想されているとした。この背景から、本学はオンラインで提供できることの幅と厚み、そしてリアルの強みを最適な方法で進めて、その価値を追求していくことを考えているという。「教学のDXは、アフターコロナにおける大学の前提となる」とした。
また、抽選科目についても言及した。より多くの学生が受講するために、対面とオンラインのハイブリッドの形態で授業を行えば受講者数の枠が広がるとしつつも、教員1人あたりの適正な受講者数という観点から見れば限界があり、慎重な判断が必要だとする。
授業形態においても、同じ科目でも対面とオンラインで受講者の付加価値は変わる場合があるとし「単なる対面とオンラインという構図を超えてさらに状況は変化していく。今後、更なる検討が求められる」と結んだ。

次世代研究大学について松原副総長は「次世代研究大学における探究的な学びについて、この概念をまずは共通認識にしたい」とした。これからの不確実性の時代の中では、自らの将来を自らの力で創造することが求められるとし、自立的に学び続ける力と必要な時にいつでも学べる場が必要だと述べた。ここでいう学びとは、知識習得や正解を出すことを目的とするものではなく、自ら答えのない問題に向き合って模索することである。また、この学びを実践するフィールドは、授業だけではなく、それまでの課外自主活動や留学を含めると松原副総長は説明する。社会と連携した活動など、大学での全ての学びを探究的な学びの場と位置付け直すことが大切だと考えているという。大学で探究的な学びを積み重ねることが、学生一人ひとりの多様な進路実現に繋がると述べた。
進路においては、学部を卒業してすぐに大学院へ進学するという形だけでなく、社会人が人生のさまざまな変化の場面から学び直しを行い、学びを深めるために適した場になるよう、立命館大学の大学院を創造したいと展望を語った。

質疑応答

大学側からの見解を受け、学園振興委員長の吉田龍太さん(文3)が「次世代探究大学は学生の自立的な学びを学生自身から創るものだという認識だが、教学のDX化については学生への支援という意味で自立的な学びとは相反するものなのではないか」と「自立的な学び」と「学修支援」のバランスについて質問した。これに対して松原副総長は「一人ひとりの学生がどうなりたいか、あるいは『どうなりたいか』をどう探すかといった挑戦やまさに探究、試行錯誤のプロセスを創造的に実現していく」とし、この探究のプロセスにおいて、大学のリソースを上手に使ってほしいと答えた。学生の挑戦に教職員が寄り添うことで、挑戦する側と支える側が探究を一緒に行っていくプロセスを共にしたいという考え方である。

質問を投げかける吉田学園振興委員長

また、仲谷善雄総長は「立命館大学の学生は約36,000人いる。自ら探究型学習を率先して行う学生から、これまでそのような取り組みを行ったことがない学生もいる。より多くの学生が探究に取り組むことができるように導いていくような環境づくりの支援が必要だと思っている」とした。「大学としてやらなければならないのは、学生のみなさんがチャレンジする、探究をしていく、研究をしていくための環境を整備していくこと、あるいはそういうきっかけ作りをお手伝いしていくところだと思う」と補足した。
見解を受けて、石川さんが「学生が挑戦する場、それを支援する場が多くあるという認識であるが、自らチャレンジすることが難しい学生にはどのような支援を行うのか、どのようなシステムを整備しようと考えているか」と質問した。これに対して松原副総長は「一人ひとりが例えば4年間なら4年間の間で、大学という場をその人らしく使えるようにしていく」と応えた。また、DXを、全ての人にとってプラスになるような設定にしたいとも述べた。このほか、学生への対応をする大きな部署である教学部、学生部、国際部といった部局間での連携を強め、多様な学生の成長する仕組みをつくっていきたいとした。仲谷総長は「DXでできることはどんどんやっていきたい。ただ、最後は人だと思う。探究というのは人に刺激を受けて『よし、自分もやってみよう』『もしかしたら何かできるかもしれない』と思うものだ」と、大学における人の大切さも強調した。

発言をする仲谷総長

各議題の討論を終え、伊坂副総長、石川さんからまとめが、仲谷総長から閉会あいさつが述べられた。

伊坂副総長によるまとめ

この全学協議会に向けてさまざま なパートの方との懇談会を重ね、本日を迎え、議論、真摯なご意見をいただくことができたことを心より感謝申し上げる。
第1議題では、特に本日の全学協議会に向けたさまざま な議論経過を振り返り、確認させていただいた。とりわけ学費政策に関する議論では、学友会との議論の中で2022年6月3日の2022年度第1回全学協議会代表者会議の時点で私学における学費の性質、この性質を理解した上での本学の学費政策・財政状況について、しっかりと理解が得られたということ、これがきっかけとなって本日の全学協議会の議論に繋がったということだ。加えて、この2022年度第1回全学協議会に向けた懇談会、2022年度度第1回全学協議会代表者会議以降、本日に向けた懇談会においても、学生の皆さん、院生の皆さんを含めてその議論のあり方というのは、不確実な時代を切り開くため、大学作りに向けた学生院生の皆さんの参画のあり方についても方向性を示した。
第2議題では、1つ目に英語についての問題・グローバル化の展開、2つ目としてDXの課題、3つ目に次世代研究大学について、この3点について議論が展開され、非常に有意義な意見交換ができた。とりわけ英語教育、グローバル化については皆さんの大きな関心であり、これからどういう風に学びを伸ばしていくのか、非常に重要な課題であることを再度、意識した。教学のDX化については、オンラインで提供できることもあるが、それだけに頼ることなく、最終的にはそれをそれぞれがどう活用するのか、そしてそれが成長や学びにどう生かせるのかということが極めて重要であると認識している。加えてDXは、学生生活や皆さんの色んな多様な学びやチャレンジ、それについても大きく貢献するものであるということで理解が一致したと考えている。
次世代研究大学については、本日の議論を通じて、探究的な学びそのものが次世代研究大学だと、研究をもう少し広い視野、広く捉えて良いという中で、すべての皆さんが探究的な、探究的な学びが立命館大学では展開できことの確信を得ていただいたのではないか。そのような形で次世代研究大学のイメージの共有が本日の議論を通じてできたと感じている。
そして、大学におけるこのような探究的な学びというのは、学生・院生・教職員、すべてが、それぞれが学び、成長するためには必要だということ。加えて、その積み重ねを通じて皆さんそれぞれが多様な進路やキャリアを切り開いていくことができること、そして最終的にはそれぞれが望む進路やキャリアに向かって進んでいけることを、本日の議論を通じて確信した。本日の議論は今後の大学づくりにおいて貴重な経験であり議論でありプロセスであったと考えている。継続して皆さんと議論をしていきたい。そのためにも、本日の第1議題にもあったように、お互いの深い理解に基づいたコミュニケーション、創造的な対話によって大学づくりに向けた大きなうねり、あるいはともに創るというという協創力、あるいは推進力をみなさんと目指せるものと確信できた全学協議会だったと感じている。全構成パートの皆さんとともに、創造的な対話を繰り返しながら大学を更に発展すべく、我々も皆さんとともに力を合わせて進めていきたい。

石川常任委員長によるまとめ

学友会としても、この間の大学との議論、全学協議会代表者会議やさまざまな懇談会の中で、大学と学友会は一緒により良い大学をつくっていけると強く認識している。またこれは、学部と自治会においても同様のことだと認識をしている。特に学部自治会の学生たちは、自分の学部に所属しながら友達や後輩との関わりの中で気づいた疑問点やきっかけを五者懇談会を通じて学部に訴えていると認識している。こういった学友会と大学、そして自治会と学部が強く連携をしながら創造的な対話を重ねることでR2030の達成、そしてよりよい立命館の創造に繋がっていくのではないかと考えている。

仲谷総長による閉会あいさつ

まことに前向きで刺激的な、かつ真摯な議論をすることができたことに感謝を申し上げる。私は今後の大学、学園づくりに向けて多くの場面で、次世代探究学園という表現を使っている。この学園が一体的に、探究的な学びを進めるということをイメージして使っているものである。この探究的な学びの場のあり方について、簡単に言えば、ワクワクする学園をつくっていこうよ、ワクワクする大学にしていこうよ、ということだと思っている。それを学生・院生の皆さんと共にやっていきたいし、今日の議論を聞いて、私もその輪の中に入りたいと少しでも思ってもらえれば、私はここに今日の意義があると思っている。
本日の全学協議会は2つの意味で歴史的な全学協議会だと考えている。1つは本日の議論がまさにR2030の実現という、これからの未来の取り組みについて学友会、院生協議会連合会、大学のそれぞれが当事者として探究しながら議論を進めることができたという点にあると思っている。特に2021年度全学協議会代表者会議で私が参加させていただいて以降、積み重ねてきた懇談と本日の全学協議会の議論は立命館が歴史的に培ってきた、全学協議会という制度の価値を現代的な視点に立って実践的に高める取り組みであったと思っている。
2つ目は、立命館がこれまで大切にしてきた全学協議会の役割や機能、価値を整理することができたということだ。これについては3つほど考えられると思う。1つ目は教学および学費等の諸政策について大学はその決定と責任を負うことが前提だが、政策の検証や検討や検証プロセスにおいては学友会、院生協議会連合会、大学等は当事者としての役割があり、それぞれが大学作りに関わる責任を持つということ。2つ目は、こうした役割認識のもとでそれぞれの意見を尊重する対話を行うことで新しい価値や共通の課題を発見し、実質的に大学づくりに関わる機会となること。3つ目は、こうした全学協議会の役割や機能を活かし、大学づくりとして共に政策を考え、その取り組みをお互いの立場から評価することは結果として、立命館の大学づくりが自主的、自立的な質保証が機能する仕組みだということ。これら3つの点は、全学協議会という稀有な制度を持っているこの大学だからこそできることだと、私は誇りに思っている。
また、今回の議論の中で学友会の皆さんは自身の役割として2点ほどを挙げていただいた。1点目は、大学が考える学費や財政政策の取り組みを理解した上で、学費の使途としての学びについて議論すること、2点目は、大学と共に大学づくりを考える立場から、現在の状況や未来の予測される状況に向き合い、より良い大学づくりを一緒に考える存在だということ、である。
第1議題の議論でもあったように、これからの時代の大学づくりには学生・院生の皆さんの参画が必要不可欠である。学部の五者懇談会や大学の各組織の懇談の場といった、さまざまな懇談の機会の中で、今後も学生・院生の皆さんと対話を大事にしながら共に大学づくりについて探究を進めていきたいと思う。こうした積み重ねが今後の立命館の強みになって、皆さんの学びと成長を将来にわたって、そして次の世代の価値になると確信している。

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