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2023年度第1回代表者会議開催 R2030に向けて

6月13日、2023年度第1回全学協議会代表者会議が朱雀キャンパスにて行われた。当日は大学、学友会、院生協議会連合会、教職員組合、オブザーバーの立命館生活協同組合から代表者が出席した。

開会挨拶

仲谷善雄総長は開会挨拶にて、「コロナ禍も3年という月日を経て、新たなフェーズに移行した。今年の4回生の皆さんは大学入学後、コロナ禍で期待とは全く異なるキャンパスライフを強いられ、辛い思いをされたと思います。その意味でも、キャンパスの賑わいが戻ってきた現状は本当に良かったと思っている」と述べた。

また、R2030で重視している次世代研究大学への取り組みとして「NEXT学生フェロー」「RARA学生フェロー」、社会起業家育成のプラットフォームである「RIMIX(リミックス)」を挙げ、「このような取り組みの全てが、わくわくするキャンパスを創造すると考えている。本日のこの機会は、時間としては限られているが、本当に貴重な場と認識しており、有益な意見交換、議論ができることを心から期待している」と話した。

挨拶をする仲谷善雄総長

第一議題

2023年度全学協議会代表者会議の第1議題ではR2030チャレンジ・デザインの実現に向けての展望について大学より言及された。

本学では、R2030の実現に向けて「次世代研究大学の実現」、「イノベーション・創発性人材を生み出す大学」という2つの柱を掲げ、社会共生価値の創出を志向するための新たな価値や学びが生み出されることが目標であることを伊坂忠夫副総長は説明し、あわせて内閣府が目指すべき未来社会として提唱する「society5.0」についても、「この計画の実現に向けて重視されている事柄は新たな価値を創造する将来であり、イノベーション創発性人材の輩出を目指す本学と同じ方向である」と見解を示した。さらに、この実現に向けた具体的な施策として、文部科学省、経済産業省から補助金の採択を受け、びわこ・くさつキャンパス内に二つのイノベーション創出拠点を整備していくことなどを挙げた。

徳田昭雄副総長は、次世代研究大学を目指す上で各学部、研究科が有する「専門知」を学際的に活用し、総合知を発揮することで、社会問題の解決にむけたアプローチをしていくこと、そのためにも多様な価値観を持つ人がつながる場を提供することが大切であると説明した。また、目標を実現するうえで「研究だけで完結するものではなく、それらの社会実装に向けて教職員や学生を巻き込みながら共創していくという形を目指している」と話した。

資料を手に説明を行う徳田昭雄副総長

第一議題 質疑応答

第1議題の質疑応答では桑原大空学友会学園振興委員長が徳田副総長の説明を受けて「R2030の考え方において、社会共生がイノベーション活用を生み出していく際に、学部生の位置づけはどういったものになるのか」と質問した。

質問をする桑原大空学友会学園振興委員長

伊坂副総長は、「本学は大学、大学院だけでなく小中高も含めた探求学園を目指しています。大学は皆さんがわくわくしながら探究できる環境をできるだけ用意しますので、学部生の皆さんには、その中で周りの仲間を巻き込みながら、より大きな探究のうねりを起こしてもらいたい」と話した。
 
また院生として、峯院生協議会連合会幹事長が「院生のニーズというものは多様である。先ほど説明された研究のグローバル化や学際性は研究発展につながるものだと思うが、研究課題によってはすぐにつながるわけではない。一方で標準年限以内での博士号取得が期待されている点もあるため相容れない状況になっている。改めて院生の研究課題に対するニーズが多様であることを確認した上で議論を行っていきたい」とし認識の共有を求めた。
 
こうした学生・院生の意見表明を踏まえ仲谷総長も発言した。学生に向けては「研究に結びつけるための探究力を上げていく、それを学園全体で支援する。そのような枠組みや制度作りを本学は進めていきたいと考えている」としたうえで、探究力の獲得は容易ではないことにも共感を示した。こうした一連の流れとしては本学の衣笠農園における活動を一つのモデルケースとして、「1人の学生が問題意識を持って活動し、それに職員や学生が更に巻きこまれていく。その活動が、学生の就職先にも影響して、人生に関わっていく。大学としてもこのような場を提供していきたい」と述べた。こうした一人ひとりの強みを発見できる場を本学が提供するという目標は大学院でも変わることはないと続けた。
 
これに対して吉田龍太学友会常任委員長が続き、意見を述べた。

吉田学友会常任委員長は、「学園の中で、学部生から附属校の方も含め一つの教育、教学というものを作っていることを十分理解することができた。一方、学生もたった4年間で(一人ひとりの探究の場は)見つかるのかというと現状は見つからない。例えば、現在普及しているライスボールセミナーなどの探究発見の機会は、学生たちの中での評価は上がっているものの、やはり、まだまだ学生の認知は低い。学部生が手の届きにくいプロジェクトに対して、どのように『見える化』を進めていくのかについても、ぜひ検討を続けていただきたい」とした。

意見を表明する吉田龍太学友会常任委員長

こうした学友会の意見を受けて仲谷総長は、「あまり多くの情報を(学生に)提供しすぎると、かえって見なくなってしまう可能性がある。ただ、情報が少ないと選択肢が狭くなるのでバランスが重要である。また、探究の場を提供するには、コロナ禍でオンラインやメタバースのように『リアルでは手間がかかるが、オンラインなら少し覗いてみようか』という可能性を実感するようになってきたのではないか。我々としては、オンラインをこれまでの使い方だけにとどまらず考えていかなければならないと思っている。オンラインやメタバースの知識については、世代間での違いがかなりある。我々は引き続き研究しながら、学生の皆さんからの提案も期待したい」とオンライン形式が持つ様々な可能性について話した。

第二議題

第二議題では2022年度決算を踏まえた2024年度以降の学費政策について確認がなされた。

はじめに奥村陽一常務理事からの説明がなされた。奥村常務理事は常任理事会での議決に先だって2024年度の入学者の立命館大学学費の検討状況について述べ「収入政策においては、資金運用収入や寄付金、それから受託事業等の外部資金等、学納金以外の収入強化に取り組んでいる。支出の削減についてはキャンパス管理の見直し等を中心に、2020年から10年間で19億円、さらに20年から23年にかけては3年で3.6億円の削減をしてきている」とし予算の最適化を達成するために工夫や重点化を行うことで継続的に取り組んできているとした。しかしこのような財政上の努力を実施しながらも2022年度決算における経常的な教育活動に伴う収支はマイナスとなっている状況を踏まえ、現在、常任理事会では昨年度決定した授業料改定方式に基づいて、2024年度以降の立命館大学の学部に入学する学生の学費の検討を進めていることを述べた。教学維持改善費として5万円を適用するとして審議を行っているという。

なお学費の改定のみではなく、財政運営の努力や、学びと成長実感を高めるための取り組みを不断に推進していくという。学納金への依存を下げるために、R2030の財政運営では学納金依存率を75%以下に抑えるという目標を掲げる。さらに想定される24年度の授業料改定後についても、同依存率は75%以下となる試算であることも発表した。
奥村常務理事は「教学維持改善費を組み入れた授業料改定方式は、学びの環境や機会を保障し、将来にわたり持続的に教育研究の向上を行うための財政基盤を維持する重要な方策の一つと考えている」として理解を求めた。
 

第二議題の意見交換

奥村常務理事の説明を受け、桑原学友会学園振興委員長は「教学維持改善費の検討に関しては教学条件を維持改善するために加算されるものというふうに理解した。ではこれからのどういった教学を想定して5万円という金額を提起したのか」と質問。

奥村常務理事は「学生・院生には研究力・実践力を身につけていただく。それらを学園で試す場を、我々が用意していく。24年度入学生には教学維持改善費によって整えられた学園の環境を使うことで自己の成長につなげていってもらいたい」と話した。

さらにこれを受けて、吉田学友会常任委員長が発言し、24年度以降に適用される教学維持改善費の導入により学園での学生生活は期待されるものになるとした。そのうえで「昨年度からの意見として、学費の金額の話だけではなく、その中身がどうなっていくのかというところを議論していきたい。学友会としても昨年度から継続した議論を受け、これまで『要求実現運動』という名称を、これから大学と共に学生の学園の教学や研究について議論し創っていくという考え方にたち『学園共創活動』と名称を変え本年度議論の準備をしている。改めて、教学・研究をどのようなものにしていくのかという点、そしてそれをどのように『見える化』していくのかといった、あらゆる部分を含めて、継続して施策への議論をしていきたい」とし学友会の意見表明とした。

また伊坂副総長は吉田学友会常任委員長の言葉を受け「我々としても『見える化』をどんどん図るべきだと思う。また学友会の皆様から『一緒に作り上げていく』という決意を頂いたからには、我々が最大限やれること、そして皆さんがチャンスを得て伸びていくこと、そのような学園創生に繋げていくためのもの(教学維持改善費の適用について)であることをご理解いただきたきたい」とした。

理解を求める伊坂忠夫副総長

閉会の挨拶

二つの議題の意見表明を終え、森島朋三理事長と仲谷総長が当日のまとめと閉会の挨拶を述べた。森島理事長は学友会による見解を振り返り「要求実現運動にとどまらず学園共創活動に取り組みたいという学生の考えを高く評価したい」とし、その実現のためには信頼関係を構築し、本年度も議論を継続していきたいと語った。また仲谷総長は当日の議論を「真摯に向き合うことができた」と評価し、秋学期に予定されている全学協議会代表者会議を見据え、「学生・院生の声、そして学部・研究科の先生方、学部の職員の声を聞きながら学費に見合った、あるいはそれ以上の教学を展開するための議論を深めていきたいと思う」と締めくくった。

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